著者
神里 博武 Hirotake Kamizato 長崎ウエスレヤン大学現代社会学部福祉コミュニティ学科 Faculty of Contemporary Social Studies Nagasaki Wesleyan University
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
長崎ウエスレヤン大学現代社会学部紀要 (ISSN:13481142)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-8,

2002年度から国の「待機児童ゼロ作戟」が始まっているが,保育所入所を待機している児童いわゆる待機児童の解消を図ることは,非常に困難なようである。本稿では全国的に待機児童の多い沖縄県の状況を検討しながら,行政がいくら待機児童対策を講じてもなかなか減少しない,沖縄の保育状況を分析し考察した。その結果,待機児童を「顕在化した待機児童」と「潜在的な待機児童」に分けて,潜在的待機児童にメスを入れることの必要性を強調した。待機児童の背後に存在する膨大な潜在的待機児童の状況を明らかにするために,沖縄県の保育問題としての認可外保育施設や5歳児保育問題について検討した。
著者
神里 博武
出版者
沖縄国際大学
雑誌
沖縄国際大学人間福祉研究 (ISSN:13483463)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-24, 2005-06

本稿は、2004年1月に実施した「小地域福祉活動の取り組み状況調査」を通して、長崎県の小地域ネットワーク活動の現状と課題を考察した。調査は長崎県社会福祉協議会(長崎県社協)の協力を得て、県下市町村社協に対して行った。調査の目的は、長崎県の小地域ネットワーク活動の現状を把握すること、特に、小地域ネットワークの対象にどのような広がりが見られるか。又、活動内容が、見守り・安否確認といった従来のネットワーク活動から、当事者の生活課題に対応した生活支援活動にまで拡大しているか。さらに、ネットワーク活動がどのような効果をもたらしたか、等を明らかにすることであった。今回の調査研究で明らかになったことは、対象が高齢者だけでなく、障がい者、子育て家庭にまで拡大し、活動も見守り以外に、買い物、介助等の生活支援も行われていることである。今後の課題としては、市町村社協が、小地域ネットワークを重要な社協活動として認識し、民生委員・児童委員、関係者と連携して主体的に取り組むことが求められる。また、対象が高齢者だけでなく、障がい者等まで拡大してきているが、現状は、依然として高齢者が中心で、障がい者等のネットワークは弱い。特に、地域で児童の虐待問題が深刻化しているが、子育て支援のネットはほとんど構築されていない。地域の福祉課題に応えるネットワークの構築が急がれる。そのためには、ネットワーク会議や社協が主催するネットワーク推進会議の設置とその機能化が不可欠である。