著者
神野 恵
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

律令制下の土器生産は、国家主導のもとで行われ、諸国で作られた土器は、一定の規格で製作され、都城への貢納品として運ばれた。一定規格が要求されるため、製作技法や形態から、土器の生産地を特定することが難しい場合もあり、当該時期の土器生産の生産と消費の実態把握を難しくしている。一定規格で生産とはいえ、都城に集まる土器は、生産地に起因するであろう胎土、形態、法量に微妙に差異が認められ、生産地ごとの分類が必須条件となるとの研究視座から、生産地を念頭においた群別分類をおこなってきた。本研究では、とくに広域に流通する須恵器の群別分類を見直し、より正確にするための化学分析データの蓄積と分析を進めてきた。平城京への須恵器供給が確実な、和泉陶邑窯、奈良山の諸窯、生駒東麓の諸窯の窯出土資料あるいは表採資料について、蛍光X線分析のデータを蓄積するとともに、「延喜式」において須恵器の調納が義務付けられている備前寒風窯をはじめ、考古学的観察によって一定量、消費されていることが明らかな尾張猿投窯、遠江湖西窯などの須恵器についても化学分析のデータを蓄積してきた。このデータは、胎土の粘土成分を削って粉末にしたうえで、エネルギー分散型の蛍光エックス線を用いる方法で測定をおこなってきた。昨年度より、これらデータの再現性、信頼性を確認するため、JIS規格にのった方法であるガラスビード法を波長分散型蛍光X線で測定したデータを追加し、分析値の偏りや信頼性の確認を進め、既発表のデータについても、精度を検証するとともに、データを追加し、7~8世紀の須恵器生産地ごとの基礎的データを網羅的にまとめることを目指す。さらに、考古学的手法による観察結果とこれらデータを対象させながら、律令期における土器の群別分類を再構築する。
著者
神野 恵治 茂木 健司 笹岡 邦典 根岸 明秀
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-7, 2008-02-01 (Released:2008-04-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

【背景・目的】 先に著者らは口内貯留による各種含嗽剤の薬剤効果を報告した. 今回は含嗽という機械的清掃行為が加えられた場合の一般細菌, カンジダを減少させる効果について検討した. 【対象と方法】 健常成人18名に対し, 水道水, 薬用リステリン®(青色) 原液, 2倍希釈液, 4倍希釈液, 薬用リステリン®(黄色) 原液, 2倍希釈液, 4倍希釈液, ポピドンヨード 30倍希釈液, ハチアズレ®, 3 %過酸化水素水, ネオステリン・グリーン®50倍希釈液おのおの30mlを含嗽後の唾液を検体とし, 一般細菌, カンジダの培養後, 含嗽剤作用前後のコロニー数を比較した. 【結 果】 一般細菌は, 含嗽前では全例から検出されたが, 含嗽後では50.0~100%で減少した. カンジダは, 含嗽前では23.0~38.0%に検出され, 含嗽後では40.0~100%で減少していた. いずれも薬用リステリン®(青色) 原液, ポピドンヨード30倍希釈液の減少率が高かった. 【結 語】 含嗽剤を用いて含嗽することにより, 一般細菌, カンジダを減少させる効果が認められ, 特に薬用リステリン®(青色) 原液, ポピドンヨード30倍希釈液の効果が高かった.