著者
兼宗 進 中谷 多哉子 御手洗 理英 福井 眞吾 久野 靖
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.44, no.13, pp.58-71, 2003-10-15
参考文献数
21
被引用文献数
25

近年,教育課程の改訂により,小学校から高等学校までの初中等教育において情報教育の導入が進められている.筆者らは,「情報教育の中でプログラミングを体験することは計算機の動作原理を学ぶうえで効果的である」という考えから,初中等教育で活用可能なプログラミング言語である「ドリトル」を開発し,それを用いたプログラミング教育について研究を行ってきた.本稿では,中学校においてドリトルを用いて実施したプログラミング教育とその評価について報告する.行った授業では,プログラミング経験のない生徒を対象に,タートルグラフィックスとGUI部品を用いたプログラミングを扱った.また,アンケートと2回の定期試験の結果に基づき,オブジェクト指向を含むプログラミングの概念が生徒にどのように理解されるかを分析した.Recently, IT education curriculum at K12 (kindergarten and 12-year-education) schools are being started in Japan. Programming experiences will be useful for students to learn essence and principle of computers. However, we insist that the use of "modern" languages is indispensable to achieve the goal. In this paper we describe our experiences of using "Dolittle" object-oriented programming language in junior high school classes. Turtle graphics, figure objects, and GUI objects were taught in the class, and paper tests and enquiries were conducted for evaluation. As the result, majority of the students understood basic concepts of programming and object-orientation, and enjoyed the classes.
著者
兼宗 進 御手洗 理英 中谷 多哉子 福井 眞吾 久野 靖
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.42, no.SIG11(PRO12), pp.78-90, 2001-11-15

情報社会の急速な発展にともない,初中等教育の中で情報の比重が高まっている.計算機の働きを最も効果的に学ぶ手段の1 つはプログラミングを体験することであるが,教育現場ではBasic やLogoといった数世代前の言語が使われることが多く,現代のソフトウェアシステムの理解につながらないという問題が存在する.本稿では,初中等教育での利用が可能なプログラミング言語「ドリトル」およびその実行系の設計と実装について述べる.ドリトルはオブジェクト指向言語であり,あらかじめ用意された各種のオブジェクトを活用した教育を可能とする一方,Self 言語と同様のプロトタイプ方式の採用により,クラスや継承などの高度な抽象概念の理解を不要にしている.その他,変数や命令語などの識別子と記号が日本語文字で統一されている,メソッドを属性と統合的に扱えるといった特徴を持つ.処理系はJava2 で書かれたインタプリタとして実装し,教育現場のさまざまな環境で動作できるようにした.
著者
中谷 多哉子 兼宗 進 御手洗 理英 福井 眞吾 久野 靖
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1610-1624, 2002-06-15

初中等教育での情報教育の準備が進められている.オブジェクトストームとは,コンピュータへの興味を持たせつつ,楽しませながら,オブジェクト指向プログラミングを介してコンピュータの基本的な原理を理解させる情報教育コンセプトである.ドリトルは,オブジェクトストームに基づいて開発された日本語オブジェクト指向プログラミング言語である.ドリトルは,オブジェクトの効果的な見せ方の1つとして,タートルグラフィックスを含む図形環境を提供しており,簡潔で分かりやすい文法を持っている.本稿では,中高校生を対象に行った実験授業の成果を示すとともに,オブジェクトストームの概念を紹介し,ドリトルの教育効果と可能性について議論する.
著者
兼宗 進 中谷 多哉子 御手洗 理英 福井 眞吾 久野 靖
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.81-81, 2004-05-15

近年,教育課程の改定により,小学校から高等学校までの初中等教育において,プログラミングを含む情報教育の導入が進められている.筆者らは,初中等教育で活用可能な教育用オブジェクト指向言語「ドリトル」を開発し,提案を行ってきた.本稿では,プログラムの中からオブジェクトをネットワーク間で複製・共有して扱うドリトルの拡張について報告する.この機能により,ある生徒がドリトルの任意のオブジェクトに名前を付けて公開したときに,他の生徒はそのオブジェクトを自分のプログラムに取り込んで再利用したり,共有して使ったりすることが可能になった.授業の中では,生徒が個人ごとに独立したプログラミングを行うだけでなく,複数の生徒が共同で作業する形のプログラミングを行うことが可能である.共有機能の実装は,Java2 で記述されたドリトルの処理系に,RMI(Remote Method Invocation)を用いた通信機能を組み込むことで拡張を行った.The Japanese government has been promoting IT education at elementary and secondary schools since 2002. In this presentation, we describe design and implementation of object sharing for "Dolittle" programming language. Students can release their objects into network in the classroom. Then other students can copy or share objects in their programs. By using object sharing, students not only can make program by oneself, but also can make program with collaboration. We implemented object sharing using Java RMI (Remote Method Invocation).
著者
兼宗 進 中谷 多哉子 御手洗 理英 福井 眞吾 久野 靖
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. プログラミング (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SIG_13(PRO_18), pp.58-71, 2003-10

近年,教育課程の改訂により,小学校から高等学校までの初中等教育において情報教育の導入が進められている.筆者らは,「情報教育の中でプログラミングを体験することは計算機の動作原理を学ぶうえで効果的である」という考えから,初中等教育で活用可能なプログラミング言語である「ドリトル」を開発し,それを用いたプログラミング教育について研究を行ってきた.本稿では,中学校においてドリトルを用いて実施したプログラミング教育とその評価について報告する.行った授業では,プログラミング経験のない生徒を対象に,タートルグラフィックスとGUI部品を用いたプログラミングを扱った.また,アンケートと2回の定期試験の結果に基づき,オブジェクト指向を含むプログラミングの概念が生徒にどのように理解されるかを分析した.Recently, IT education curriculum at K12 (kindergarten and 12-year-education) schools are being started in Japan. Programming experiences will be useful for students to learn essence and principle of computers. However, we insist that the use of "modern" languages is indispensable to achieve the goal. In this paper we describe our experiences of using "Dolittle" object-oriented programming language in junior high school classes. Turtle graphics, figure objects, and GUI objects were taught in the class, and paper tests and enquiries were conducted for evaluation. As the result, majority of the students understood basic concents of programming and object-orientation, and enjoyed the classes.
著者
中谷 多哉子 兼宗 進 御手洗 理英 福井 眞吾 久野 靖
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1610-1624, 2002-06

初中等教育での情報教育の準備が進められている.オブジェクトストームとは,コンピュータへの興味を持たせつつ,楽しませながら,オブジェクト指向プログラミングを介してコンピュータの基本的な原理を理解させる情報教育コンセプトである.ドリトルは,オブジェクトストームに基づいて開発された日本語オブジェクト指向プログラミング言語である.ドリトルは,オブジェクトの効果的な見せ方の1つとして,タートルグラフィックスを含む図形環境を提供しており,簡潔で分かりやすい文法を持っている.本稿では,中高校生を対象に行った実験授業の成果を示すとともに,オブジェクトストームの概念を紹介し,ドリトルの教育効果と可能性について議論する.Information education for K-12 (kindergarten and 12-year-education) will start from 2002. In this paper, we propose Objectstorms, the concept for K-12 programming education, and evaluate its educational effectiveness. The method is supported by object oriented programming language named Dolittle. Through Dolittle programming experiences, students learn the basic concepts of computer. Besides information education, Dolittle can be applied to various subjects on phenomena with rules, such as physics and mathematics.
著者
兼宗 進 御手洗 理英 中谷 多哉子 福井 眞吾 久野 靖
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. プログラミング (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.42, no.SIG_11(PRO_12), pp.78-90, 2001-11

情報社会の急速な発展にともない, 初中等教育の中で情報の比重が高まっている.計算機の働きを最も効果的に学ぶ手段の1つはプログラミングを体験することであるが, 教育現場ではBasicやLogoといった数世代前の言語が使われることが多く, 現代のソフトウェアシステムの理解につながらないという問題が存在する.本稿では, 初中等教育での利用が可能なプログラミング言語「ドリトル」およびその実行系の設計と実装について述べる.ドリトルはオブジェクト指向言語であり, あらかじめ用意された各種のオブジェクトを活用した教育を可能とする一方, Self言語と同様のプロトタイプ方式の採用により, クラスや継承などの高度な抽象概念の理解を不要にしている.その他, 変数や命令語などの識別子と記号が日本語文字で統一されている, メソッドを属性と統合的に扱えるといった特徴を持つ.処理系はJava2で書かれたインタプリンタとして実装し, 教育現場のさまざまな環境で動作できるようにした.In the IT revolution, IT education is becoming more important in school education. Programming is an effective way for learning computers. However, many teachers use old languages like Basic and Logo, so students can't understand modern software systems. This paper describes design and implementation of the programming language "Dolittle". Dolittle is an object-oriented language aimed at school education. Incorporating prototype-based object system like Self, Dolittle requires less knowledge of abstract concept like classes and inheritances. Students can learn it easily, thanks to predefined objects and familiar Japanese identifiers and symbols. We implemented Dolittle interpreter by Java2, so it can run in many educational environments.