- 著者
-
丸山 隆児
福山 国太郎
加藤 卓朗
杉本 理恵
谷口 裕子
渡辺 京子
西岡 清
- 出版者
- The Japanese Society for Medical Mycology
- 雑誌
- 日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.4, pp.265-268, 2003-10-30 (Released:2009-12-18)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
6
4
フットプレス培養,患者家庭塵埃培養などによる検討結果をもとに,足白癬の感染予防策をまとめた.(1)足白癬患者の足底からは高率に白癬菌散布が生じているが,抗真菌剤の外用を行うことで散布を抑制することが可能である.(2)すでに散布された白癬菌は乾燥状態におけば1ヶ月程度のうちに急速に死滅するが,湿潤した状況下では半年以上にわたって生存する可能性があり,白癬菌に汚染された浴室やバスマットなどは定期的な清掃,洗濯などを行う必要がある.(3)靴を脱いで不特定多数のものが利用する区域では,非罹患者の足底に白癬菌の付着が生ずることが多く,靴下をはいていても菌の付着を完全に予防することは難しい.ただし,付着した白癬菌は足を拭く,洗うなどの簡単な処置で角層内へ侵入する前に除去可能である.家族内感染を防ぐには(1),(2)に従って対応し,家族外感染については(3)に従って対応する習慣を遵守すれば,新たな足白癬の罹患をかなりの程度で予防可能であると考える.