著者
渡辺 京子 谷口 裕子 西岡 清 丸山 隆児 加藤 卓朗
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.183-186, 2000-07-30 (Released:2009-12-18)
参考文献数
12
被引用文献数
7 7

銭湯や温泉,プールなど裸足となる環境では,足白癬患者によって散布された皮膚糸状菌(以下,菌)が健常人の足底に付着し,足白癬感染のきっかけとなる.そこで,菌は靴下をはいた状態でも足底に付着するのか,それとも予防できるのかをFoot-press培養法を用いて実験的に検討した.足白癬に罹患していない被験者は,右足に綿靴下,ナイロンストッキング,毛靴下,足袋をはき,先に足白癬患者によって菌が散布されているバスマットを踏んだ後にFoot-press培養法を行い,靴下をぬいだ直後に,再度Foot-press培養法を行った.その結果,すべての靴下には菌が付着していたが,ナイロンストッキングの場合には,靴下より脱いだ足底に多数の菌が付着しており,綿靴下でも菌の一部が靴下を通過し,足底に付着した.毛靴下,足袋の場合は足底にほとんど菌が付着しなかった.各靴下を顕微鏡で観察すると,綿靴下やナイロンストッキングは,繊維の編み目が菌よりも大きく,菌を容易に通過させると考えられた.毛靴下や足袋は,編み目が密である上に,繊維の毛羽立ち,伸縮性の少なさによって菌を通過させないものと考えられた.ナイロンストッキングでは菌の付着の予防にはならず,綿靴下でも十分ではないことを示した.
著者
藤広 満智子
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.43-55, 1993-02-20 (Released:2010-11-18)
参考文献数
31
被引用文献数
4 2

揖斐総合病院皮膚科外来を訪れた足白癬患者183例と正常人102例を対象に, 足からの白癬菌散布の頻度, 量, 臨床との相関を検討した.対象となった患者に, 素足で10分間表面塩化ビニール製のスリッパを着用させ, ニチバン製セロファン粘着テープでスリッパの足底の接する面全体から試料を採取し, Actidione, chloramphenicol添加ペプトングルコース寒天平板培地にて白癬菌の分離培養を行った. その結果118例 (64.5%) の白癬患者のスリッパ169個からTrichophyton rubrumまたはTrichophyton mentagrophytesが分離された. 1個のスリッパ当たりの集落数別に検討したところ, 5集落以下のスリッパが最も多く112個 (66.3%), 6~10集落22個 (13.0%), 11~15集落12個 (7.1%), 16~20集落5個 (3.0%), 21~25集落3個 (1.8%), 26~30集落6個 (3.6%) および31集落以上9個 (5.3%) であった. 菌種による散布頻度, 散布量の差は認められなかった. 散布群と非散布群間で, 病型, 原因菌種, KOH所見, 鱗屑, 小水疱, 趾間の浸軟, 〓痒, 発赤, 足底の乾燥状態および爪白癬の合併の有無に関して比較したところ, 趾間の浸軟, 足底の湿潤が散布群により多くみられた. コントロールとした正常人102例中2例のスリッパからT. mentagrophytesが各1集落分離された. また20例の足白癬患者の足底をセロテープ®で剥離し, そのセロテープ®を20%KOH処理して観察したところ, 14例 (70%) に白癬菌と思われる菌要素を確認した.
著者
上原 雅江 佐野 文子 鎗田 響子 亀井 克彦 羽毛田 牧夫 井出 京子 永井 啓子 高山 義浩 西村 和子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.205-209, 2008 (Released:2008-08-09)
参考文献数
21
被引用文献数
6 4

2006年本邦において,タイ人AIDS患者の血液培養よりPenicillium marneffei が分離された.本菌種による感染報告例は本症例が3例目となるが,培養に成功した例はわが国では初めてと考えられる.患者は,41歳,タイ東北部出身の女性で,約10年前に来日.その後もしばしば一時帰国していた.AIDS治療中に発熱のために行った血液培養より,培養初期に白色,やがて暗赤色となる集落が分離され,菌学的および分子生物学的手法によりP. marneffei と同定され,患者はマルネッフェイ型ペニシリウム症と診断された.アムホテリシンBおよびミカファンギンの投薬により患者は回復し,引き続き通院し経過を観察された.分離株をサブロー・ブドウ糖寒天平板培地にて25℃で培養した集落は,初め白色フェルト状で,次第に黄色から黄緑色となり,さらに培地内に深紅色色素を拡散した.分生子頭は散開性で,その先端に分生子の連鎖を形成していた.ブレイン・ハート・インフュージョン寒天斜面培地にて35℃で培養すると,細かい襞のある灰白色膜様集落を形成し,顕微鏡的には短菌糸より構成されていた.なお,本分離株のリボゾームRNA遺伝子internal transcribed spacer領域の配列は,既知株と100%一致し,DDBJにAB298970として登録されている. 臨床検査分野においては,今後HIV感染症の拡散と人々の移動のグローバル化に伴い,病原性輸入真菌症に遭遇する危険性が高まることが予測され,専門機関との連携を含め,初期対応が可能となるような体制作りが必要であると考える.
著者
Shigeharu Inouye Miki Takahashi Shigeru Abe
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.243-251, 2009 (Released:2009-11-27)
参考文献数
12
被引用文献数
18 17

The antifungal activity of 43 hydrosols, 7 herbal teas and 12 essential oils was determined using Candida albicans as a test organism. All of the hydrosols examined showed more potent inhibition against the filamentous form than the yeast form of C. albicans. In particular, the filamentous form was markedly inhibited by seven hydrosols, of which monarda, santolina and clove water also inhibited the growth of the yeast form. Most of the inhibitory activity of the hydrosols was correlated with that of their respective major components. Poor correlation was observed between the inhibition of filament formation and the growth inhibition of the yeast form among the hydrosols examined, among essential oils and among the major components of hydrosols and essential oils. Seven herbal teas showed moderate or weak activity against the filament formation of C. albicans, but no inhibition against the yeast form.
著者
清 佳浩 滝内 石夫 渡辺 晋一 本田 光芳 伊東 文行 西川 武二 小川 秀興 原田 敬之 西山 千秋 加藤 卓朗
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-97, 1997-02-28 (Released:2009-12-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

フケ症を対象に,0.75%硝酸ミコナゾールシャンプー(MZS)の有用性を,シャンプー基剤(BSS)を対照として8施設による二重盲検比較試験により検討を行った.また,フケおよびかゆみに対する症状の改善とMalassezia furfurの菌数の減少,すなわち真菌学的効果との関係についても併せて検討した.その結果,総症例数134例中,安全性解析対象症例は130例,有効性および有用性解析対象症例は108例であった.有用率はMZS群58例中34例(58.6%),BSS群50例中19例(38.0%)であり,MZS群がBSS群に比し有意に優れる成績であった(p=0.020).フケの改善率では,MZS群58例中42例(72.4%),BSS群50例中26例(52.0%)であり,MZS群がBSS群に比し有意に優れる成績であった(p=0.017).M.furfurに対する真菌学的効果とフケに対する有効性に関して,効果の発現がみられた症例においては,菌数の有意な減少が認められた(p=0.0001).これに対し,無効の症例では試験開始前と終了後の菌数の変化に有意差を認めなかった.また,試験開始時の菌数による有効性の層別解析では,菌数が比較的多い症例において,MZS群がBSS群に比し有意に優れていた(p=0.038).副作用は130例全例において全く認められなかった.以上より,MZSはフケ症に対して有効であり,フケの改善とM.furfur菌数の減少とも比較的一致する極めて有用なシャンプー剤であると考えられた.
著者
赤川 清子
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.209-214, 1997-07-30 (Released:2009-12-18)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

ヒト単球をGM-CSFまたはM-CSF存在下に培養すると,形態,表面マーカー,機能(貪食能,活性酸素産生能,抗原呈示能,HIV感染感受性など)の異なる2種類のマクロファージ(Mφ)に分化すること,GM-CSFで分化誘導したMφは,ヒトの肺胞Mφに似ていることが知られた.またCSFによるヒト単球のMφへの分化はIL-4により修飾され,GM-CSFとIL-4によりCD1陽性の樹状細胞(DC)に,またM-CSFとIL-4によりTRAP陽性の破骨細胞様多核巨細胞(MGC)への分化が誘導されることが知られた.単球由来DCは,既にGM-CSFによりMφへ変換する能力は有していないが,M-CSFのレセプターであるc-fmsを有しM-CSFに反応してMφに分化可能である.しかしTNF-αで処理することによりc-fmsの発現が抑制されM-CSFによるMφへの分化能を失うことが知られた.また単球由来MGCの形成には内在性のIL-1とIL-6が重要な役割を果たしており,CD4/HLA-DR,LFA-1/ICAM-1及びCD14とそのリガンドの相互作用が必要なことが示唆された.

2 0 0 0 OA 真菌の命名法

著者
高島 昌子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.263-267, 2009 (Released:2009-11-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
木内 哲也
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.223-225, 2004

臓器移植領域における深在性真菌症は,ほとんどが<i>Candida</i>と<i>Aspergillus</i>によるものであり,小腸・肝・膵・肺移植での頻度が高い.限られた情報ではあるが移植臓器別に危険因子が挙げられているが,これに基づいた抗真菌薬の予防投与や先制攻撃的使用についてはその効果について充分な証明のなされていないものも多い.術前状態や手術因子,免疫抑制因子も含めた移植領域の特性に基づいた症例の階層化を行い臨床的裏付けに基づいたテーラー・メードの指針に到達するためには,多くの試案と検証とを繰り返していく必要がある.

1 0 0 0 OA 脂漏性皮膚炎

著者
清 佳浩
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.77-80, 2003-04-30 (Released:2009-12-18)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

脂漏性皮膚炎は,脂漏部位である頭部・顔面中央・耳・胸部正中および間擦部に生じる油性の落屑性紅斑を特徴とする疾患である.本疾患の詳細な発症機序はまだ解明されていないが,癜風菌が発症ないし悪化に深くかかわっていることは間違いない.本疾患は,客観的な検査法が確立されていないため,臨床症状に基づいて診断される.したがって鑑別診断を注意深く行う必要がある.直接鏡検による癜風菌の確認,皮脂量の測定,IgE抗体価,パッチテストなどを組み合わせて除外診断を行う.治療に関してはケトコナゾールクリームなど再発までの期間が長い抗真菌剤を積極的に使用したい.
著者
時松 一成 辛島 礼子 山形 英司 山上 由理子 永井 寛之 門田 淳一 那須 勝
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.181-186, 2003
被引用文献数
1 9

<i>Trichosporon</i>属は易感染性宿主に発症する致死的な日和見感染症の起炎真菌の一つとして注目されている.深在性トリコスポロン症を惹起する菌種は最近の分離学的な再考の結果<i>T. asahii, T. mucoides</i>とされた.大分医科大学第二内科において過去20年間に13例の深在性トリコスポロン症を経験した.本症は抗癌化学療法を施行された血液悪性疾患患者において白血球の減少期に発症,重篤な臨床経過をとることが多い.我々は<i>T. asahii</i>と<i>T. mucoides</i>に特異性を認めるPCRプライマーを設定し,トリコスポロン症患者の保存血清を用いてPCR法を検討した結果,患者の血清中から<i>Trichosporon</i>のDNAが高率に,しかも血液培養陽性になる数日から数週前から検出されることを明らかにした.またマウスモデルにおける治療研究ではコロニー刺激因子(G-CSF)とフルコナゾールの併用療法が最も効果的であった.さらに新たなマウスモデルでの検討では,血液培養陰性にもかかわらず血清PCRが陽性を示す潜在的トリコスポロン血症ともいうべき状態が存在することが明らかになった.この時期における早期治療開始が深在性トリコスポロン症の感染制御には重要であると思われる.
著者
蓮子 雅之 坪井 良治 稲垣 勝裕
出版者
一般社団法人 日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:24345229)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.39-42, 2020 (Released:2020-05-30)
参考文献数
8

ルリコナゾール爪外用液5%(ルコナック®爪外用液5%)の塗布で生じると報告されている爪変色に関して,ヒト爪を用いたin vitro 試験で原因と対処法を検討した.ルリコナゾール爪外用液5%の反復塗布によって爪表面に白色化が生じた.これはボディソープ洗浄および70%エタノール清拭で除去されたことから,爪表面における有効成分ルリコナゾールの析出が原因と推察された.さらに,ルリコナゾール爪外用液5%を塗布した爪を白色蛍光灯で10,000luxに保った人工気象器に入れて保持することで黄色化したが,上記対処法では完全には改善できなかった.これらの事実より,黄色化はルリコナゾールの光分解によるものと考えられ,爪表面だけでなく爪甲内に浸透・蓄積したルリコナゾールも光分解を受けることが示唆された.爪変色の対処法としては入浴時の洗浄と70%エタノール清拭が効果的であり,塗布部の光暴露は避けたほうがよいと考えられた.
著者
Arunaloke Chakrabarti Shiv Sekhar Chatterjee MR Shivaprakash
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.165-172, 2008 (Released:2008-08-09)
参考文献数
78
被引用文献数
38

In recent years fungi have been flourishing in immunocompromised patients of tertiary care centers. The data on the burden of opportunistic mycoses in India is not clear though the climate in this country is well suited for a wide variety of fungal infections. There are very few good diagnostic mycology laboratories and clinicians are still not aware of the emerging trends. Within the limited data available, an increased incidence of invasive candidiasis, aspergillosis, and zygomycosis are reported. The emergence of fungal rhinosinusitis, penicilliosis marneffei and zygomycosis due to Apophysomyces elegans is unique in the Indian scenario. Invasive candidiasis is the most common opportunistic mycosis. The global change in spectrum of Candida species is also observed in India; however, the higher prevalence of candidemia due to Candida tropicalis instead of C. glabrata or C. parapsilosis is interesting. Invasive aspergillosis is the second contender. Though due to difficulty in antemortem diagnosis the exact prevalence of this disease is not known, high prevalence is expected in Indian hospitals where construction activities continue in the hospital vicinity without a proper impervious barrier. The other opportunistic mycosis, invasive zygomycosis is an important concern as the world's highest number of cases of this disease is reported from India. The infection is commonly observed in patients with uncontrolled diabetes mellitus. Though antiretroviral therapy in AIDS patients has been introduced in most Indian hospitals, no decline in the incidence of cryptococcosis and penicilliosis has yet been observed. Thus there is need of good diagnostic mycology laboratories, rapid diagnosis, and refinement of antifungal strategies in India.
著者
笠井 達也
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.5-9, 2006 (Released:2007-07-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

国立仙台病院皮膚科に於ける1968年以降30年間の皮膚真菌症の集計をもとにして, 皮膚真菌症の推移を検討した. 本統計の詳細は既に報告してあるので, ここでは経時的な推移に主眼をおいて論じた. 皮膚真菌症全体としては1970年代前半に急増後はほぼ平均した値が維持されているが, 病型別に見ると, 足白癬と爪白癬は増加, 体部白癬と股部白癬は減少傾向が顕著である. 手白癬は比較的変動が少なく, 少しずつ減少, 頭部白癬も全体としては少数ながら, 期間の中期にやや増加した後, 後期には減少傾向にある. 年齢分布の推移を見ると, 足白癬, 爪白癬では分布のピークが5年毎に5歳ずつ高齢側に移動すると共に, 分布曲線の山が広くなだらかとなり, 若年層の罹患の減少傾向を見る. 股部白癬では当初の若年層の山が後半全く消失して, 高齢側の低く広い分布に変わっている. 体部白癬でも同様の傾向が見られる. 皮膚カンジダ症は乳児寄生菌性紅斑の急増に伴い1970年代前半に顕著に増加した後, 急減. カンジダ性間擦疹も同時に増加後は, 余り減らないままに推移している. カンジダ性爪囲爪炎と指間びらんは女性に圧倒的に多いが, 近年やや減少傾向にある. 非定型疹も減少している. 癜風は終始ほぼ変動がない. スポロトリコーシスは20例, 深在性の皮膚アスペルギルス症と黒色真菌症は各1例観察された.
著者
佐藤 俊樹
出版者
一般社団法人 日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:24345229)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.11-14, 2019 (Released:2019-03-04)

東北真菌懇話会は,1975年に東北大学皮膚科第4代教授の高橋吉定先生の門下生の方々が,東北から真菌の灯を絶やすまいと結集して設立した「みちのくピルツ同好会」が前身である.1989年に東北真菌懇話会と改称し,真菌に興味のある方は誰でも参加できるようになった.例会は年1回開催され30回を重ねている.永らく笠井達也先生が運営されていたが,2016年から出光俊郎先生が会長として携わっている.2018年からは日本医真菌学会支部会としても活動し,ハンズオンセミナーも開催している.皮膚科以外でも広い分野で参加を募り,また,些細な疑問でも相談できるような会を目指して,医真菌学に興味を持つ方々を増やすことができるよう,活動を続けている.
著者
呂 耀卿
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.179-185, 1990
被引用文献数
1

発達した医療体制の下で,人々の寿命は延び,糖尿病・自己免疫病なども上手に管理されて,高年者を含む免疫力低下あるいは不全の人口が殖えつつある.従って真菌症を含めての感染症は減らず,稀な菌種による感染さえ見るようになった.この趨勢は台湾にも見られ,ここ三年間の数多い症例の中から,皮膚病変を伴う珍らしいと思われる9例を紹介する.全例とも皮膚科医の報告したものである.Penicilliosis marneffei; cutaneous protothecosis; phaeohyphomycosis: Exophiala jeanselmei 2例,Alternaria sp.1例;congenital cutaneous candidiasis; cutaneous fusariosis; cutaneous aspergillosis; pemphigus foliaceus with cryptococcemiaであり,それぞれの病歴・現症・臨床検査的及び病理組織学的所見・菌学的検査結果・治療及び経過を説明し,特にそれぞれの推察され得る免疫学的背景を可及的に探索した.菌学的に興味のあるのはPenicilliosisとProtothecosisで,殊にdimorphismのある<i>Penicillium marneffei</i>は報告例が30例足らずで,主に東南亜からである.<br>発病の基礎的原因としては糖尿病・紅斑性狼瘡・天疱瘡あるいはステロイドの長期使用が主であるが,単に高年あるいは幼弱で免疫力が弱いと考えられるのもある.<br>治療はそれぞれ異なった薬や方法を用いているが,面白いことに全例成功しており,これが諸家の参考になれば幸いである.
著者
安部 茂
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.227-231, 2004
被引用文献数
7

老人における口腔カンジダ症,および吸入ステロイドの使用に伴う咽頭・食道カンジダ症は,患者が非常に多い疾患であり,しかも一部の患者では難治性となる.これら粘膜カンジダ症は,主として常在菌である<i>Candida albicans</i>が,宿主の低下した防御能をくぐり抜け,感染が成立する感染症である.鵞口瘡がこれら口腔咽頭カンジダ症の一般的な状態であり,舌,咽頭などに偽膜性の白苔を生じる.私達は新たにマウス口腔カンジダ症および咽頭カンジダ症のモデルを作成した.これら動物モデルは,口腔カンジダ症では,クロルプロマジンをマウスに投予することで,<i>C.albicans</i>の口腔内への菌の定着が容易におこるのみでなく,舌白苔などの症状を示し,その数値化が可能となるものである.すでにこの口腔カンジダ症モデルで,ウシラクトフェリン,クローブ,植物精油の経口投与により防御効果が得られており,その免疫学的機序も一部明らかにされてきている.さらに,アゾール系抗真菌剤に耐性を示す<i>Candida albicans</i>による本感染症に対しても植物精油が有効なこと,また,ヒト唾液が感染防御に働くことも明らかにされつつある.
著者
生冨 公明 西川 武二 中山 秀夫
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.184-187, 1980

著者らは最近, <i>Microsporum audouinii</i> によるケルズス禿瘡の6歳外国人男子例 (スーダン国籍) を経験した. 患者は大使館員家族で, 原因菌は外国由来と考えられた. 本邦報告例を検討したがいずれも菌学的記載に乏しく, 著者らの例が <i>Microsporum audouinii</i> によるケルズス禿瘡の本邦第1例と考えた.
著者
田嶋 磨美 天谷 美里 杉田 隆 西川 朱實 坪井 良治
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.193-196, 2005
被引用文献数
5

<i>Malassezia</i>は脂質要求性の皮膚常在菌で,癜風,脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の発症に関与していることが指摘されている.今回,我々はアカツキ病の3例を経験したので,その鱗屑痂皮に含まれる<i>Malassezia</i>の菌相を解析し,健常人,アトピー性皮膚炎患者と比較検討した.症例1は,両上下眼瞼部,症例2は左鼠径ヘルニア手術瘢痕部,症例3は頭頂部のアカツキ病であった.それぞれ,病変部鱗屑からNested PCRを用いた非培養法にて<i>Malassezia</i> DNAを検出した.症例1及び3はともに,<i>M.obtusa</i>と<i>M.slooffiae</i>が検出され,症例2は<i>M.slooffiae</i>のみが検出された.健常人皮膚からは,<i>M.globosa</i>,<i>M.restricta</i>および<i>M.sympodialis</i>が高頻度に検出されのに対し,今回アカツキ病で分離された2菌種は比較的稀で,病態との関連性が示唆された.
著者
明見 能成
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.225-228, 2009 (Released:2009-11-27)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

近年non-albicans Candida 属のカンジダ血症に占める割合が増加している.当院においても1996年から2007年の間に経験したカンジダ血症58例のうち36例はnon-albicans Candida 属による症例であった.non-albicans カンジダ血症のリスクファクターとして抗真菌剤投与の既往を検討した結果,non-albicans 症例では36例全例とも,C. albicans 真菌血症では22例中18例と,non-albicans カンジダ血症でフルコナゾール(FLCZ)使用例が多い傾向が認められた.一般にnon-albicans Candida 属菌種は,カンジダ症に第一選択抗真菌剤とされているFLCZに対する感受性から,FLCZ感受性菌であるC. tropicalis,C. parapsilosis,C. guilliermondii と,FLCZに低感受性を示すC. glabrata,C. krusei に分けられる.今回,われわれが検討した36例のnon-albicans Candida 属株の抗真菌剤感受性試験でも同様の傾向が認められた.しかしながら,C. guilliermondii はFLCZ感受性菌であるがMIC値が高い傾向を示した.また,non-albicans Candida 属に有効とされるミカファンギンに対して,C. parapsilosis とC. guilliermondii はMIC値が高い傾向を示した.