著者
黒﨑 久訓 福岡 範恭
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.131-135, 2022-10-01 (Released:2023-06-07)
参考文献数
15

【目的】四年制大学に在学する学生の研究に対する意識について調査し,学生教育における研究のあり方に関する課題について検討する。【方法】四年制大学救急救命学科の学生195名を対象に無記名のWEBアンケートを実施した。アンケート内容は,6項目からなる研究や統計学に関する質問とし,その結果について統計解析を行った。【結果】172名から回答を得た。回答者のうち,40.7%が「今後研究を行いたい」と回答し,その理由としてもっとも多かったのは,「研究を行う能力は救急救命士にも求められると思う」であった。反対に,29.7%の学生が「研究を行いたいと思わない」と回答し,「研究は難しそう」が最多の理由であった。また,研究を行いたいと思うと回答した学生ほど,有意に統計学を学ぶことに興味があり(p<0.001),将来的な大学院進学と(p<0.001),教育者としての道を考えていた(p<0.001)。【結論】4割を超える学生が,研究を行うことに対する肯定的な考えをもっていた。
著者
福岡 範恭
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.80-88, 2022-06-15 (Released:2023-06-07)
参考文献数
27

【目的】消防機関の救急救命士における専門職としてのキャリア形成には課題があるだけでなく,蓄積された重層的なストレスとの関係が考えられる。本研究では,専門職としてのキャリア形成志向とバーンアウトの関係について検討した。【方法】Webアンケートにより取得したデータからキャリア形成志向3群(キャリア非形成者群,消防組織内キャリア形成者群,消防組織外キャリア形成者群)に分類し,Kruskal-Wallis検定,多重比較,生成的コーディングにより分析した。【対象】2017年に取得したWebアンケートデータから,消防機関に属する救急救命士を対象とした(n=190)。【結果】バーンアウト下位尺度の得点平均で3群の得点平均に有意差(p<0.001)が認められた。【結論】キャリア形成志向よりもキャリア非形成志向の救急救命士ほどバーンアウトに至る可能性がある。また,消防機関に属する救急救命士のバーンアウトは,個人的達成感の低下を基調としていることが示唆される。
著者
福岡 範恭 山田 広行 安心院 康彦 池田 尚人 尾方 純一 杉田 学 髙松 純平 中村 光伸 溝端 康光
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.580-586, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
5

救急隊員による病院前救護における疾病の観察・処置の標準化として『PEMECガイドブック2017』が出版されて以降,PEMECコースが開催されている。本稿ではコース概要と開催状況,参加者より得た意識調査結果から今後の課題について考察し報告する。2018年10月までに行われたコース受講者196名に意識調査を実施した結果,184名から有効な回答が得られた。全体的な評価で「よい」と回答した75名(40.7%)を高評価群,「まあよい」「普通」「あまりよくない」と回答した109名(59.2%)を低評価群に分類し,全体の評価に強く影響を与えたコースプログラムの各項目をロジスティック解析により分類した。その結果「アルゴリズムの理解」「インストラクターの知識」「インストラクターの解説」が評価に関連する主要な因子として明らかになった(p<0.05)。コース内容は,概ねよい支持を得ているが,インストラクターの教育技能を向上させること,アルゴリズムの理解を深める指導の必要性が示された。