著者
福島 健介 小原 格 須原 慎太郎 生田 茂
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.112-120, 2005-06-01 (Released:2014-12-01)

Web上から適切なサイトを探し出し目的の情報を素早く的確に探し出す能力(情報検索能力と定義する)は,図書の適切な利用とともに,現在の高度通信情報社会において,子ども達に身に付けさせたい能力の一つとなっている。しかしながら,現状では,系統的な指導がなされないままに,学習者は経験に基づく自己流の検索技術を用いている。そのため,情報検索能力には個人差が大きく,それが学習者の学習能力や学習効率に影響を与えている。本研究では,効果的な検索能力の体得に向けて必要な教授内容についての知見を得るために,情報検索能力に及ぼす要因をあきらかにすることを目的とした。高校生と大学生に同一の検索テストと情報環境に関するアンケートを実施した。また,高校生においては,情報の探索過程の詳細な解析を行った。その結果,男女間で情報検索能力に差があること,大学生の方が高校生より情報検索能力に優れていること,高校生と大学生では情報検索能力に及ぼす要因が異なること,高校生ではPC環境や利用状況・検索実行頻度とともに「言語に関わる知識・理解」が情報検索能力に及ぼす重要な要因となっていることがあきらかとなった。
著者
福島 健介 島田 文江 松波 紀幸 生田 茂
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.56-61, 2006-06-01 (Released:2014-12-01)
被引用文献数
2

小学生から大学生までを対象に,同一の検索テスト及び情報環境についてのアンケートを実施し,検索能力の差異に及ぼす要因の検討を行った。小学生の被験者は,都下小学校4校の5年生と6年生453名であった。また,小学生では市内統一の学力調査と検索テストとの関係も調査した。本稿では,その調査を通して得られた小学生の検索能力の実態と差異に及ぼす要因を報告する。小学生の検索能力は,高校生同様,PC利用環境,検索経験の多寡など情報環境との相関が見られた。しかしながら,高校生と異なり,主要な要因として「学力」,とりわけ国語に関する学習内容との顕著な相関が確認された。小学生で情報検索能力の高い児童のモデルは「言語に関する知識・理解が的確で,かつ検索経験の豊富な児童」であった。また,検索テストについては学校間・学級間での得点差が大きく,その要因は「学力」だけでは説明できないことも確認された。