著者
八島 恵美子 福本 由希 飯渕 貞明 ヤジマ エミコ フクモト ユキ イイブチ サダアキ Emiko Yajima Yuki FUKUMOTO Sadaaki IIBUCHI
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.37, pp.45-56, 1997-03-31

1.沸騰点以下の温度で温度変化が起きる場合,低分子の拡散速度は理論値からずれる事はない。2. 100℃に保った食品をより低温の溶液につけると,分子拡散から期待される浸透速度より大きい浸透速度が得られる。食品内部で水の気化が起きるため,低温になると食品内部が陰圧になって外部溶液の吸引が起こると推定される。「味は冷えるときに染み込む」原因は細胞膜の破壊に加えて,上の現象によるものと思われる。本研究を行うにあたり,試料を提供して下さいました財団法人日本こんにゃく協会,追試の研究をして下さいました山梨県立短大の小竹研究室の皆様にお礼申し上げます。
著者
本 三保子 内田 菜穂子 渡 佳代子 斉藤 まゆ美 福本 由希
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.102, 2007 (Released:2008-02-26)

目的これまでテアフラビンなどの紅茶成分が糖質消化酵素阻害活性を有することは明らかにされているが,紅茶の製造工程における糖質消化酵素阻害作用については十分な検討がなされていない.そこで,各製造工程の茶葉から抽出した紅茶の糖質消化酵素阻害作用を検討した. 方法2006年5月に静岡県島田市で摘採した葉(べにひかり)をオーソドックス製法で製造した紅茶を用いた.各工程で試料を採取し,萎凋葉,揉捻葉,発酵(1,2,3時間)葉とした.試料は粉砕後,熱水で1時間浸出・ろ過したもの(1g/100mL)を用いた.In vitroにおける糖質消化酵素阻害活性はα-アミラーゼ阻害活性はヒト唾液希釈液を用いて,デンプン残量を測定した.また,α-グルコシターゼ阻害活性はラット小腸アセトン粉末(Sigma社製)から調製した酵素液を用いて,酵素反応により生成したグルコース量を測定した.総ポリフェノールの定量は(+)カテキンをスタンダードとして酒石酸鉄比色法により行った. 結果および考察α-アミラーゼ阻害活性は製造工程が進むに従って強くなり,発酵3時間葉が最も高値を示した.マルターゼおよびスクラーゼ阻害活性は生葉,萎凋葉で高値を示したが,その後工程が進むに従って低下した.ポリフェノール含量は生葉,萎凋葉で高値となり,その後工程が進むに従って減少した.以上の結果から,調製した紅茶は製造工程が進むに従ってα-アミラーゼ阻害活性は上昇し,α-グルコシターゼ阻害活性は低下することが示され,各糖質消化酵素に対する阻害活性成分は異なることが示唆された.また,α-グルコシターゼ阻害活性を示す成分はカテキン類である可能性が示唆された.