著者
本 三保子 内田 菜穂子 渡 佳代子 斉藤 まゆ美 福本 由希
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.102, 2007 (Released:2008-02-26)

目的これまでテアフラビンなどの紅茶成分が糖質消化酵素阻害活性を有することは明らかにされているが,紅茶の製造工程における糖質消化酵素阻害作用については十分な検討がなされていない.そこで,各製造工程の茶葉から抽出した紅茶の糖質消化酵素阻害作用を検討した. 方法2006年5月に静岡県島田市で摘採した葉(べにひかり)をオーソドックス製法で製造した紅茶を用いた.各工程で試料を採取し,萎凋葉,揉捻葉,発酵(1,2,3時間)葉とした.試料は粉砕後,熱水で1時間浸出・ろ過したもの(1g/100mL)を用いた.In vitroにおける糖質消化酵素阻害活性はα-アミラーゼ阻害活性はヒト唾液希釈液を用いて,デンプン残量を測定した.また,α-グルコシターゼ阻害活性はラット小腸アセトン粉末(Sigma社製)から調製した酵素液を用いて,酵素反応により生成したグルコース量を測定した.総ポリフェノールの定量は(+)カテキンをスタンダードとして酒石酸鉄比色法により行った. 結果および考察α-アミラーゼ阻害活性は製造工程が進むに従って強くなり,発酵3時間葉が最も高値を示した.マルターゼおよびスクラーゼ阻害活性は生葉,萎凋葉で高値を示したが,その後工程が進むに従って低下した.ポリフェノール含量は生葉,萎凋葉で高値となり,その後工程が進むに従って減少した.以上の結果から,調製した紅茶は製造工程が進むに従ってα-アミラーゼ阻害活性は上昇し,α-グルコシターゼ阻害活性は低下することが示され,各糖質消化酵素に対する阻害活性成分は異なることが示唆された.また,α-グルコシターゼ阻害活性を示す成分はカテキン類である可能性が示唆された.
著者
田村 朝子 本 三保子 山田 則子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.497-503, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ウコギ葉を熱水で抽出した茶を標準飼料および無繊維飼料で飼育したマウスに長期に摂取させ, 腸内環境および小腸組織に対する効果を検討した. 投与した飼料と飲料によりコントロール水群, コントロールウコギ茶群, 無繊維水群, 無繊維ウコギ茶群の4群とし, ウコギ茶の効果を比較した.1) 糞便排泄量および糞中コレステロール排泄量は, コントロール群が無繊維群より有意に高く, 4群間ではコントロールウコギ茶群が最も高い値を示した.2) 盲腸中短鎖脂肪酸総量は, コントロール群が無繊維群より有意に高く, コントロール群間ではウコギ茶群が水群より有意に高い値を示した.3) コントロールウコギ茶群の小腸絨毛の長さは他の3群より有意に長く, 組織および細胞形態も大きく密になっていた. 無繊維ウコギ茶群の絨毛の長さは, 無繊維水群より有意に長くなっていた.以上の結果から, ウコギ茶摂取によって腸の蠕動運動が活発になり, 糞便排泄量が増加し, 小腸組織の発達が促進された. これらのことは, ウコギ茶中に溶出された水溶性食物繊維の影響によるものと推察されたが, 不溶性の食物繊維との相乗効果が大きいと考えられる.