著者
福本 誠二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3649-3654, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

FGF23は,骨により産生され,Klotho-FGF受容体複合体に作用することにより,腎近位尿細管でのリン再吸収と,血中1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管リン吸収の抑制により,血中リン濃度を低下させるホルモンである.このためFGF23作用障害により,リン再吸収の亢進を伴う高リン血症を特徴とする,家族性高リン血症性腫瘍状石灰沈着症が惹起される.逆に過剰なFGF23活性が,いくつかの低リン血症性くる病/骨軟化症の原因となることも明らかとなった.さらにFGF23は,慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の発現にも関与することが示されている.臨床的には,血中FGF23濃度の測定が低リン血症性疾患の鑑別に有用であることが提唱されている.またFGF23過剰産生モデル動物では,FGF23活性の抑制が病態を改善させることが報告されている.従ってFGF23作用を調節する方法が,今後リン代謝異常症の新たな治療法となる可能性がある.
著者
高士 祐一 福本 誠二
出版者
日本メディカルセンター
雑誌
腎と骨代謝 (ISSN:09145265)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.111-117, 2016-04-01

線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23;FGF23)は,生体内のリン代謝に中心的な役割を果たすホルモンである.鉄欠乏性貧血患者では,鉄静注製剤である含糖酸化鉄などの投与によりFGF23が増加し,低リン血症を惹起することが知られている.一方,常染色体優性低リン血症性くる病(autosomal dominant hypophosphatemic rickets;ADHR)患者では,鉄欠乏を契機としてFGF23産生の亢進や低リン血症が惹起されることが明らかとなっている.このように,生体内で鉄とFGF23-Klotho系は関連しているものと考えられるが,その詳細な機序には不明な点が残されている.
著者
福本 誠二
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.719-724, 2007
被引用文献数
1

FGF23は,FGFファミリー最後のメンバーとして同定された.FGF23の作用過多は低リン血症性疾患を惹起するのに加え,FGF23の作用障害により高リン血症が惹起されることが明らかにされた.またklothoが,FGF23作用の発現に必要であることが示された.これらの成績は,FGF23がホルモンとして作用すること,FGFファミリーのリガントと受容体の関係が,従来知られていた以上に多様で複雑であることを示している.<br>