著者
三宅 加奈 高士 祐一 松澤 陽子 北本 匠 櫻井 健一 齋藤 淳 大村 昌夫 西川 哲男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.714-721, 2014-09-30 (Released:2014-10-07)
参考文献数
18

症例は64歳女性.未治療のB型肝炎・肝硬変(Child-Pugh分類A)の精査時,食後数時間での低血糖症状が判明し当科紹介.HbA1c(以下NGSP値)5.7 %だが,75 gOGTTで90-120分後に高血糖と高インスリン血症,300分後に著明な低血糖(44 mg/dl)が誘発された.25 gIVGTTで5分後頂値の高血糖,10-90分後に高インスリン血症,225分後に低血糖(50 mg/dl)が誘発された.絶食時に低血糖はなく,インスリノーマの可能性は低かった.画像上脾腎シャントと肝のA-P(arterioportal,動脈門脈)シャント病変を認めた.分食とα-グルコシダーゼ阻害薬で食後高血糖と反応性低血糖は改善.【考察】本例では75 gOGTTで血糖上昇遅延及び遅延性インスリン分泌を認めた.シャント血流による血行動態変化及び肝硬変による肝での糖・インスリン代謝の変化が原因として疑われた.
著者
高士 祐一 福本 誠二
出版者
日本メディカルセンター
雑誌
腎と骨代謝 (ISSN:09145265)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.111-117, 2016-04-01

線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23;FGF23)は,生体内のリン代謝に中心的な役割を果たすホルモンである.鉄欠乏性貧血患者では,鉄静注製剤である含糖酸化鉄などの投与によりFGF23が増加し,低リン血症を惹起することが知られている.一方,常染色体優性低リン血症性くる病(autosomal dominant hypophosphatemic rickets;ADHR)患者では,鉄欠乏を契機としてFGF23産生の亢進や低リン血症が惹起されることが明らかとなっている.このように,生体内で鉄とFGF23-Klotho系は関連しているものと考えられるが,その詳細な機序には不明な点が残されている.