著者
水流添 覚 山元 章 平島 義彰 福田 一起 梶原 伸宏 西田 周平 下田 誠也 荒木 栄一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.837-842, 2014-11-30 (Released:2014-12-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

症例は65歳の2型糖尿病男性で経口薬・インスリン併用中だが,高血糖,肥満が是正されないためSGLT2阻害薬を導入すべく入院となった.メトホルミン,利尿薬内服を中止の上でイプラグリフロジン50 mg開始.血糖改善は良好で2日目から約10 %のインスリン減量を実施.3日目に全身性皮疹,腎機能障害(Cr 1.6 mg/dl),ケトーシス(3-OHBA 626 μmol/l),軽度代謝性アシドーシス(PH 7.348, HCO3- 18.3 mmol/l)に加え高度高K血症(7.3 mEq/l)を来した.症例は高K既往,K高含有食品(昆布)常用,ARB内服など高Kを呈しやすい素地があった.これに利尿薬中止,SGLT2阻害薬開始後の腎機能低下,アシドーシス,インスリン作用不足によるK細胞外シフトが加わり高Kを発症したと推察する.高Kを呈しやすい背景の患者へのSGLT2阻害薬導入ではK値に注意を要する.