著者
江頭 宏亮 福田 浩章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-138, no.14, pp.1-7, 2016-08-01

現在,仮想化は一般的な技術になっており,物理資源の効率化が求められるデータセンタなどで活用されている.こうした仮想化を支えているのがハイパーバイザである.ハイパーバイザとは,仮想マシンを実現するためのソフトウェアである.近年,ハイパーバイザに負荷分散やマルウェア監視などの新たな機能を加え,より効率性と可用性の高いハイパーバイザが研究・開発されている.新しいハイパーバイザをゼロから開発する場合,仮想ハードウェアなどの多くの機能を実装しなければならないため,豊富な知識と多くの時間が必要となる.また,オープンソースのハイパーバイザに新たな機能を実装しようとしても,それらのハイパーバイザは長い時間をかけて多くの開発者によって改修されてきたため難しい.そこで本稿では,ハイパーバイザの開発を容易にするためのフレームワークを提案する.提案フレームワークは,仮想ハードウェアを提供しハイパーバイザの制御を容易に変更可能にすることで,開発者の負担を軽減を目指す.
著者
古橋 健斗 松本 拓也 福田 浩章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-140, no.1, pp.1-6, 2017-05-09

クラウドサービスでは,アプリケーションを提供するサービス提供者が物理マシンやネットワークを保有するインフラ提供者から必要に応じてリソース (e.g., 仮想マシン) を確保し,サービスを提供している.サービス提供者は,最大負荷 (必要になる仮想マシンの最大数) を見積もることでサービスの円滑な運用を目指しているが,予め見積もることは難しい.一方,インフラ提供者は,物理マシン,仮想マシンの負荷状況 (e.g, CPU やメモリ使用量) をもとに仮想マシンを再配置し,データセンタ全体の運用効率向上を目指している [1] [2].この検証には実運用に適用することが望ましいが,サービス提供者の SLA を保証する必要があり,実現は難しい.また,大規模なデータセンタを準備することも難しいため,シミュレーションでの検証を行わざるをえない [3].そこで本研究では,RaspberryPI を利用し,サービス提供者,インフラ提供者それぞれの要求を容易にテストできる環境を提供する.具体的には,複数の RaspberryPI を使用した仮想データセンタの構築と負荷状況の監視,仮想マシンの操作を実現する.また,必要に応じて仮想マシンを増減し,スケールアウトする機能を実現する.そして,仮想マシンの移動,スケールアウトを本環境で実行し,その機能性能を示す.
著者
小嶋 奨 福田 浩章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-138, no.20, pp.1-7, 2016-08-01

Software Defined Network(SDN) はネットワークをソフトウェアで定義することによって制御する技術である.SDN はパケットの転送機能を有する複数のスイッチと,パケットのルーティングを管理するソフトウェアを物理的に分離する.そして,両者を共通プロトコルで接続することで,ネットワークの機能をコントローラーで一元管理し,プログラムで柔軟に変更することができるため注目されている.SDN はスイッチとそれを制御するコントローラで構成される.コントーラがスイッチを制御するための標準プロトコルである OpenFlow では,スイッチはパケットが保持する情報のうち OSI 基本参照モデルのレイヤ 4 以下の情報に従った機能しか利用することができない.しかし,ネットワーク機能にはレイヤ 5 以上の情報を用いる次世代ファイアウォールや,L7 ロードバランサの持つ機能が存在する.これらのレイヤ 5 以上の情報に従った機能を利用する方法は,パケットをコントローラに送ることや,専用機能を有するネットワーク機器を配置することで実現できる.しかし,前者ではコントローラに頻繁にパケットを送る必要があるため通信速度の低下が発生し,後者では SDN の利点であるネットワーク構築の柔軟性を欠くこととなってしまう.そこで,本稿では,コントローラを介さずにスイッチでパケットのレイヤ 5 以上の情報に従った動作を行うための機構を提案する.本機構により,コントローラとの通信で発生する速度の低下を低減することが期待できる.
著者
並木勁汰 福田浩章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-29, no.5, pp.1-8, 2013-05-20

無線センサネットワーク (Wireless Sensor Networks: WSN) は,センサデータを取得できる複数のノードによって構成される無線ネットワークである.WSN を構成するノードは電源が有限であり,省電力を実現するためにノードの計算資源が極小に抑えられている.したがって,複数のアプリケーションを運用する際,必要なノードに対してのみプログラムを配備する必要がある.また,アプリケーションの稼働場所を変更する場合,プログラムの配備場所を変更する必要がある.WSN ではアプリケーションの開発者がプログラムの配備場所を把握した上でプログラムを記述しなければならない.特に,プログラムの移動を考慮しなければならないモバイルエージェントアプローチではそれが困難である.本研究では,WSN におけるプログラム間通信に起因する煩雑さを改善するため,分散ハッシュテーブルによるプログラムの位置管理を行い,プログラムの配備場所を取得できる機構の提案と実装を行った.また,プログラム位置管理機構によるプログラム位置情報探索のシミュレーションを行った結果,比較的少ない消費電力での位置情報取得が可能であることが確認できた.
著者
諏訪 重貴 福田 浩章 篠埜 功
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.255-256, 2018-03-13

ウェブアプリケーションのようなソフトウェア開発においては,非同期プログラミングを用いた並列実行が必須である.callback,thread,promise,future,async/awaitなどのモデルを用いたコードは,同期処理よりも複雑であり,その性質の差異を考慮してコードを記述する必要がある.この差異を考慮することなく,非同期処理を同期処理と同様に記述できるようにすることで,保守性や可読性を向上させ,致命的なバグを抑制できると考えられる.これを実現するため,本研究ではLiquidという計算体系を提案し,操作的意味論を定義した.