著者
秋冨 慎司
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.3-11, 2022 (Released:2022-09-14)

危機管理というのは、いわゆる危機管理をする側と、それを受ける側の情報のつながりの在り方が重要であ る。特に、理想の政府としての在り方、広報の在り方が重要で、危機管理を行う上で事前の準備が必須といえ る。COVID-19 のようなウイルスが発生したら今までの感染症対策では対応できずかなり深刻な状況になり、 経済が回らなくなると、2010 年頃にすでに予測されていたが、それに対する準備・対策は行われてこなかっ た。その結果、コロナ禍の 2020 年 2 月から 4 月にかけて、医療従事者のところにマスクすらない状況がおこ った。現状のシステムであっても 8 割以上は予測でき、支援すべき項目を定め、対応策を決めるなどの準備を すれば対応ができていた。残り 2 割は、危機管理調整センターの設置をし、新しい課題に対して、情報認識を 共有し、計画立案し、実行に移せば解決できるものと考えられる。それらにより、人だけでなく、経済を殺す、 COVID-19 に十分な対応ができると考えられる。
著者
梅邑 晃 吉川 智宏 小野寺 ちあき 西成 悠 秋冨 慎司 小鹿 雅博 井上 義博 遠藤 重厚
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1063-1066, 2011

症例は53歳,女性。自宅で家族と口論となり発作的に自分の腹部を出刃包丁で刺したため救急車で当院へ搬送された。来院時上腹部に深い刺創があり,腹部CT検査で肝S4にIIIa型損傷を認めた。初期輸液療法に反応したため保存的加療目的に入院となった。受傷2日目に施行した腹部CT検査で左肝動脈の仮性動脈瘤形成と動脈瘤を介した門脈本幹とのarterio-portal(A-P)シャントを認めたため,transcatheter arterial embolization(TAE)を施行した。TAE後,A-Pシャントは消失し,以降順調に経過したため神経精神科へ転科となった。肝外傷後の肝動脈瘤は通常仮性動脈瘤であり,肝損傷後の約1%にみられる合併症である。遅発性肝破裂や胆道出血の原因となるため生命予後を左右する合併症であるが,動脈瘤形成までは受傷後数週間を要するとされる。本症例は,受傷後早期にA-Pシャントを伴う仮性肝動脈瘤を形成した非常にまれな症例であり,TAEにより治療しえたので報告する。
著者
井上 義博 菊池 哲 小野寺 誠 藤野 靖久 秋冨 慎司 山田 裕彦 遠藤 重厚
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.23-28, 2013-03-28 (Released:2013-05-02)
参考文献数
4

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,死者,行方不明者,災害関連死を含めると2万人を超える犠牲者を出した。発災から3月31日までの3週間に我々の施設に搬送された症例は23例で,内訳は溺水による呼吸不全3例,肺血栓塞栓症,うっ血性心不全,多発外傷が各2例,クラッシュ症候群,破傷風,熱傷,腸間膜動脈損傷,凍傷,脾動脈破裂が各1例,単独損傷7例であった。この内呼吸不全の3例はいずれも3週間以内に死亡したが,他の症例は救命された。津波肺は発症病態が生物学的(微生物),化学的(油脂が主体),物理学的(砂や泥)と複雑で,微生物も特殊なものに起因するため治療に難渋したものと思われた。