著者
今川 浩 安藤 泰正 秋山 綽
出版者
Japanese Society of Equine Science
雑誌
日本中央競馬会競走馬総合研究所報告 (ISSN:03864634)
巻号頁・発行日
vol.1979, no.16, pp.23-29, 1979

1976年から1978年にかけて採集された北海道の生産地, 東京, 中山両競馬場ならびに栗東トレーニングセンター所属の軽種馬の血清計1873例について, ウシロタウイルスのCF抗体保有状況を調べた. その結果, 以下の成績を得た.<br>1. 全検査例 (1873例) の60.9%にウシロタウイルスに対するCF抗体が検出された.<br>2. 北海道の生産地において, 当歳馬の15.1% (8/53), 2歳馬の56.3% (99/176) ならびに4歳以上の馬の43.3% (91/210) がそれぞれウシロタウイルスに対するCF抗体を保持していた.<br>3. 東京, 中山両競馬場および栗東トレーニングセンターの3歳馬から採集されたそれぞれの200例についてのウシロタウイルスに対するCF抗体の保有率は, 東京競馬場では43.0%, 中山競馬場では57.0%および栗東トレーニングセンターでは36.5%であった.<br>4. 中山競馬場の2歳馬の46.3% (31/67), 3歳馬の75.2% (324/431), 4歳馬の84.6% (176/208) ならびに5歳馬から7歳馬の92.2% (118/128) にウシロタウイルスに対するCF抗体が検出された.<br>以上の結果, ロタウイルスは日本の軽種馬において, 広範囲にわたって高率に感染していることが明らかになった.
著者
熊埜御堂 毅 福永 昌夫 鎌田 正信 今川 浩 安藤 泰正 和田 隆一 新田 仁彦 秋山 綽
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1191-1197, 1986-12-15

西日本地域の馬飼養地2箇所において, 1980年5月11日〜11月18日の期間, 隔週に採集した雌成虫蚊33,604匹から, Vero及びHmLu-1細胞培養によって計13株のウイルスが分離された。これら13株中4株はゲタウイルス, 9株は日本脳炎ウイルスと同定された。ゲタウイルス4株中3株は宮崎競馬場から採集されたコガタアカイエカ200プール19,465匹から分離され, 感染率は1:6,488であった。残りの1株は栗東トレーニング・センターで採集された5,897匹のコガタアカイカから分離された。宮崎競馬場及び栗東トレーニング・センターにおけるコガタアカイエカは全採取蚊種のそれぞれ85.1%及び54.5%を占め, 両調査地において捕獲されたキンイロヤブカは2%以下であった。以上の成績から西日本地域の散発的ゲタウイルス感染症においては, コガタアカイエカが主要ベクターであることが示唆された。
著者
今川 浩 平沢 澄 秋山 綽 大森 常良
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.819-821, 1982-10-25

北海道日高地方の6群49頭の仔馬から4回にわたって採取された経過血清について, 子牛ロタウィルスに対する補体結合反応を実施したところ, 1群の10例中5例に1977年6月中旬に抗体の陽転が認められた. ついで8月下旬には2群において, それぞれ1例の抗体陽転が認められた. さらに, 1978年2月初旬には3群に, それぞれ6例中6例, 6例中5例, 10例中2例に抗体が検出された. 以上から, 仔馬のロタウィルス感染はほぼ年間を通じて起り, 群内伝播性は強いことが示唆された.