著者
持田 徹 堀越 哲美 嶋倉 一實 稗田 哲也 津田 紘
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.49, pp.35-46, 1992

走行中の乗用車内の熱環境と,運転者の生理心理反応の実状を把握するため,冬期に北海道で実験を行い,熱的快適性に関し下記の結果を得た.足元にヒータの吹出し口がある場合,脚部付近の気温が胸や頭部付近より高く,一方,無暖房時の気温の垂直分布は,床から天井に向かって高くなっていた.各部位の皮膚温も,暖房時には下腿(たい)や足が,前腕や大腿より高温であったが,無暖房の時には足が最低であった.平均皮膚温は発車から,約30分でほぼ定値に達し,定常走行時の平均皮膚温と温冷感・快適感は,窓を通しての運転者への直達日射がない時は,両者の間に一定の相関関係がみられたが,日射のある場合には,必ずしも一定の関係はみられなかった.