- 著者
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稲垣 実果
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.1, pp.13-24, 2007 (Released:2007-10-30)
- 参考文献数
- 28
- 被引用文献数
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4
本研究の目的は,土居の「甘え」理論の観点から自己愛を捉え,自己愛的甘えの概念を整理し,自己愛的甘えを測定する尺度を作成することであった。自己愛的甘えは,「屈折的甘え」「配慮の要求」「許容への過度の期待」の3つの下位概念が設定された。32項目からなる自己愛的甘え尺度を大学生及び専門学校生515名に施行し,因子分析を行った結果,上記の3つの下位概念に相当する3因子が得られた。さらに確認的因子分析でも十分な適合度を示し,α係数においても高い信頼性が確認された。また,自己愛的甘え尺度は,Narcissistic Personality Inventory-S (NPI-S) で測定している自己愛とは弱い関連性を持ちながらも,「自己主張性」を含まない,別の構成概念を捉えているということ,そして多次元自我同一性尺度 (Multidimensional Ego Identity Scale: MEIS) とは各下位尺度間のいずれにおいても負の相関を示し,対人恐怖的心性尺度,被害観念尺度,疎外観念尺度とはいずれにおいても正の相関を示したことからも,構成概念的妥当性が確認された。