著者
先崎 章 浦上 裕子 大賀 優 花村 誠一 青木 重陽 山里 道彦 稲村 稔
出版者
東京福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

低酸素脳症者は身体能力が損なわれていない者でも、記憶障害や発動性低下を中心とする多彩な神経心理学的症状を示し、回復が緩慢で外傷性脳損傷者とは異なる経過をとる。家族の介護負担感も大きい。発症から一年以上経過しても「できる能力」を引き出すことで日常生活活動を向上させうる。ICFの概念から社会参加の方法を考えることも有用である。環境や介入により社会活動水準が維持されている場合には、うつや混乱は少ない。社会参加を目標とするためには、年単位の長期的な視点に立って介入、リハビリテーションを行う必要がある。身体能力が損なわれている者も含め、社会参加に至らない低酸素脳症者への支援が注目されるべきである。