著者
山里 道彦 佐藤 晋爾 池嶋 千秋 朝田 隆
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.200-208, 2006 (Released:2007-07-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Ponsford の提唱した「談話障害」に該当する症例を経験した。  症例は 37 歳男性で,脳外傷慢性期に,注意障害と記憶障害,遂行機能障害がみられた。脳外傷の部位は,両側前頭前野背内側部,右側頭葉外側部および右扁桃体であった。当症例の発言の特徴は a) 話がまわりくどい,b) 場にそぐわない話題を選ぶ,c) 自分のことを一方的に延々と話し続ける,d) 聞き手の不快感を考慮しないことの 4 点であった。これに起因して,対人関係の面で支障をきたしてきたものと思われた。こうした問題は,遂行機能障害,情動の認知障害,それに言動の自制困難の要素が合わさって生じる特有の臨床像と考察された。
著者
先崎 章 浦上 裕子 大賀 優 花村 誠一 青木 重陽 山里 道彦 稲村 稔
出版者
東京福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

低酸素脳症者は身体能力が損なわれていない者でも、記憶障害や発動性低下を中心とする多彩な神経心理学的症状を示し、回復が緩慢で外傷性脳損傷者とは異なる経過をとる。家族の介護負担感も大きい。発症から一年以上経過しても「できる能力」を引き出すことで日常生活活動を向上させうる。ICFの概念から社会参加の方法を考えることも有用である。環境や介入により社会活動水準が維持されている場合には、うつや混乱は少ない。社会参加を目標とするためには、年単位の長期的な視点に立って介入、リハビリテーションを行う必要がある。身体能力が損なわれている者も含め、社会参加に至らない低酸素脳症者への支援が注目されるべきである。
著者
山里 道彦 大賀 優
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.659-665, 2011-10-18 (Released:2011-11-10)
参考文献数
20

外傷性脳損傷 (TBI) 者の社会的孤立を防ぐために,集団で行う心理療法が注目され,さまざまな形態でのグループ訓練が試みられてきた.本報告ではTBI者に対して,デイケアの形態で行うグループ訓練の有効性を認知面と心理行動面に分けて検証した.過去3 年間にデイケアに参加したTBI 20 例を対象とし,訓練6 カ月後に家族に対して行った質問票の結果で,心理面 (抑うつ気分・興奮) と,行動面 (他者情動の理解・身だしなみ) に有意な改善がみられた.これは,我々のとったグループ訓練の体制によりTBI者の発動性やコミュニケーション能力が改善したためであると考察された.TBI者の心理行動面の改善に,デイケアの形態をとったグループ訓練は有効であった.