著者
那須田 依子 丸谷 守保 青木 重陽
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.B1584-B1584, 2008

【はじめに】若年重度外傷性脳損傷患者に対して、身体機能回復に重点をおいた時期と在宅・復学準備に重点をおいた時期に担当し、若干の知見を得たので報告する。<BR>【症例】受傷時年齢16歳、女性。2006年8月26日交通事故にて受傷、JCSIII-200。瀰漫性軸策損傷、左後頭骨骨折、左肺挫傷の診断で保存的加療、18日後覚醒し10月24日当院転入院となった。右片麻痺、失調、高次脳機能障害、嚥下・構音障害、複視。MRIでは左側頭葉・脳梁膨大部・脳幹・左小脳脚に多発性に微小な異常信号が見られた。<BR>【経過】初回入院時は、ADL全介助、車いす坐位保持困難であり、感情失禁があり、流涎多量で経鼻経管栄養、ベッド上排泄で、FIM34点であった。理学療法では体幹の筋活動促通、頭頸部と体幹の分節的コントロールを獲得するために寝返り・起き上がり・座位練習を施行し、抗重力筋活動促通のために立位バランス・介助歩行などを施行した。3ヶ月後には端座位近位監視、車いす駆動自立、感情失禁の増強がみられ、流涎なく刻み食経口摂取可能、トイレ排泄でFIM64点となり、他院へリハビリテーション継続目的で転院となった。<BR>他院転院から3ヶ月半後当院へ再入院となり、再入院時は、端座位自立、立位軽介助、感情失禁は軽減しており、常食経口摂取可能、トイレ動作軽介助で、WAIS-III全検査IQ85点、FIM70点であった。動作の安定性向上、立位・歩行能力向上を目的に理学療法を施行した。また、合わせて家屋改修、屋内用車いす作成と電動車いす駆動評価、高校訪問調査と高校教員との会議などの社会環境調整を実施した。3ヵ月後には立ち上がり・立位近位監視、移乗・歩行軽介助、電動車いす操作自立、トイレ動作見守りで、FIM80点となり退院、在宅へ移行した。<BR>2007年9月、受傷から1年経過して復学となった。<BR>【考察】若年の外傷性脳損傷患者の機能改善は長期にわたるという報告があり、本症例も同様に身体機能の著しい改善が長期に見られた。退院後も機能改善していくことが予想されるため、継続したリハビリテーションが必要といえる。<BR>本症例は座位保持困難な重症例であったが、受傷から一年後に復学することが可能となった。復学には学校の理解が必要不可欠であり、病院スタッフが学校訪問し直接的に介入したことと、今後も病院の関わりが得られるという安心感を学校側が得られたことが、復学を円滑に進める一助となったと考えられた。重度の身体障害や高次脳機能障害に対する理解の不足は、社会復帰の阻害因子となる。社会との連携は、円滑な社会復帰の重要な因子となると考えられる。<BR>若年外傷性脳損傷患者は受傷後の長い人生の中で、身体機能も社会環境も様々に変化する。本症例も復学が最終目標ではなく、今後もライフステージに合わせた長期的支援が必要と考えている。<BR>
著者
先崎 章 浦上 裕子 大賀 優 花村 誠一 青木 重陽 山里 道彦 稲村 稔
出版者
東京福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

低酸素脳症者は身体能力が損なわれていない者でも、記憶障害や発動性低下を中心とする多彩な神経心理学的症状を示し、回復が緩慢で外傷性脳損傷者とは異なる経過をとる。家族の介護負担感も大きい。発症から一年以上経過しても「できる能力」を引き出すことで日常生活活動を向上させうる。ICFの概念から社会参加の方法を考えることも有用である。環境や介入により社会活動水準が維持されている場合には、うつや混乱は少ない。社会参加を目標とするためには、年単位の長期的な視点に立って介入、リハビリテーションを行う必要がある。身体能力が損なわれている者も含め、社会参加に至らない低酸素脳症者への支援が注目されるべきである。
著者
青木 重陽
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.280-286, 2016-04-18 (Released:2016-05-20)
参考文献数
47

前交通動脈瘤破裂患者は,記憶障害を呈することが多く,前脳基底部との関連性が議論されている.また,実際には複数部位の脳損傷を伴うことが多く,さまざまな症状を呈することにもなる.戦略獲得訓練や代償手段の導入が考慮されるが,使用すべき残存機能の部分も障害されていることが多いため,より丁寧な対応が求められる.転帰については,発症1年を過ぎても症状が残っていることが多く,情動面と社会面に課題を残す者が多い.このように発症後時間を経た後に顕在化する情動面や社会面の課題に対しても,リハビリテーションの必要性があることが指摘されている.