- 著者
-
稲葉 健太郎
水野 基樹
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
- 雑誌
- 日本体育・スポーツ・健康学会予稿集 第71回(2021) (ISSN:24367257)
- 巻号頁・発行日
- pp.287, 2021 (Released:2021-12-28)
厚生労働省と経済産業省が推進する「健康経営」に取り組む企業が増えている。経済産業省は「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」といった顕彰制度を設けたり、健康保険組合及び地方自治体と連携して健康経営を推し進めており、メディアで健康経営が扱われる機会も多くなっている。 しかし、経済産業省が行った中小企業を対象とした健康経営の認知度の調査によると、健康経営について「全く知らなかった」が52%、「聞いたことがあるが、内容は知らない」が32%と、約8割の企業が健康経営の内容について知らないという実態も明らかとなっている。以上より、健康経営という概念は徐々に広がりを見せてはいるが、より多くの企業や従業員に浸透させるためには草の根的な啓蒙活動の必要があると考えられる。 そこで本研究では、企業に勤める従業員に対するインタビュー及びSNSに投稿されたテキストを分析することで、健康経営が一般的にどのような認知をされているのかを明らかにすることを目的に調査を行った。 インタビュー調査では都内のIT系企業に勤める4名を対象とした。調査の結果、健康経営の実践によって従業員の離職意識を間接的に低減させるとの意見を得られたが、健康経営による定量的・定性的なエビデンスを得る機会が無いため、費用対効果については疑問があるとの意見を得られた。また、SNSのテキスト分析の結果、頻出語では「企業」「健康」「従業員」「働く」といった単語が抽出された。また、共起ネットワーク分析では「健康」と「企業」「従業員」「投資」「向上」といった語のリンクが確認され、健康経営の効果についてSNSを通して発信されていることが明らかとなった。