- 著者
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加藤 忠史
笠原 和起
窪田 美恵
- 出版者
- 順天堂大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
カナダのケベックブレインバンクおよび国内の福島医科大学ブレインバンクより供与を受けた、双極性障害患者および対照群死後脳由来視床ブロックより作成した脳切片の解析を進めた。抗カルレチニン抗体染色を用いて視床室傍核を同定し、抗COX(チトクロームc酸化酵素)抗体および抗SDH(クエン酸脱水素酵素)抗体を用いた二重染色により、ミトコンドリアDNA由来蛋白質が減少している細胞を同定した。その結果、試料のpHが高い場合には検討が可能であったが、試料のpH低下に伴ってCOX陰性細胞が増加することが示唆された。そこで、抗8-OHdG抗体を用いて、酸化ストレスについても検討を行うこととし、染色を行った。8-OHdG様免疫反応性は細胞質に局在し、主にミトコンドリアDNAの酸化を反映していると考えられた。染色の結果、患者の視床室傍核において見出されたCOX陰性細胞は8-OHdG強陽性である一方、試料pHの低下に伴って見られるCOX陰性細胞は8-OHdG陰性または弱陽性であった。COX陰性・8-OHdG陽性細胞が、ミトコンドリア機能障害を反映する可能性が考えられた。また、視床室傍核特異的にCreを発現するトランスジェニックマウスの作成を進めた。また、mtDNA変異蓄積によって神経細胞の形態がどのように変化するかについて調べるため、ミトコンドリア移行シグナルを持つ制限酵素を発現させ、これを発現させることによりmtDNA欠失が生成されることを確認した。