著者
立石 貴之
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.D3P1539, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】呼吸困難感のある患者の呼吸パターンは横隔膜を中心とした腹式呼吸よりも頚部・背部筋を中心とした胸式呼吸が優位になる印象がある.腹式呼吸に比べて換気効率が悪いといわれている胸式呼吸に移行しやすい理由の詳細は不明であるが、鰓弓神経由来の顔面・三叉・舌咽・迷走神経に支配される筋がやむにやまれず優位に働かざるを得ない状況に陥るのかもしれない.また、藤田は、僧帽筋は副神経からも支配されており、水棲脊椎動物の鰓弓を動かす筋と同じ由来を持つものと考えられると述べている.そこで今回、僧帽筋のマッサージが呼吸機能に及ぼす影響について検討することを目的とした.【方法】対象は健常男性16名(平均年齢28.8±5.8歳)とした.被験者には実験の趣旨を説明し、了解を得た.呼吸機能検査として、CHESTAC-55V(CHEST社)を用い、閉鎖回路法(He希釈法)にて、機能的残気量(以下FRC)、残気量(以下RV)、全肺気量(以下TLC)を測定した.測定肢位は両手部を大腿部に置き、背もたれに依存した椅子座位とした.呼吸機能検査を3回実施し、次に僧帽筋に対して柔捻法によるマッサージを腹臥位にて10分間実施し、その後さらに呼吸機能検査を3回実施した.また、マッサージ前後の僧帽筋の筋硬度の変化を確認するため、NEUTONE TDM-N1(トライオール社)を用い、マッサージ前後に3回測定した.測定部位は肩峰と第7頚椎棘突起の中点とした.各パラメータは平均値を代表値とした.統計処理にはt検定、Pearsonの相関係数を用い、危険率5%未満を有意とした.【結果】マッサージ前のFRC(3.20±0.47L)、RV(1.61±0.25L)に比して、マッサージ後のFRC (3.06±0.50L)、RV(1.48±0.23L)は有意に低下していた.マッサージ後の僧帽筋の筋硬度はマッサージ前に比して有意に低下していたが、マッサージ前後の筋硬度とFRCの変化量の相関係数は0.40(P=0.13)であり、有意な相関関係は認められなかった.【考察】松本ら(2004)は肺気量の減少と呼吸困難感の緩和との関係は肺気腫では密接であると報告しており、今回の結果は僧帽筋のマッサージが呼吸困難感を緩和する一つの手技となりうることを示唆すると思われる.また、今回の結果は僧帽筋の筋硬度の低下により肩甲骨が下制し、胸郭がより呼気位になった要因が大きく影響していると思われるが、筋硬度とFRCの変化量に有意な相関関係が無いことを踏まえると、系統発生学的に呼吸に強く関連していた僧帽筋のマッサージが呼吸パターンにおける神経生理学的な変化を引き起こした可能性もあるかもしれない.今後、健常女性、呼吸器疾患患者を対象とした同様の研究を継続していきたい.【まとめ】健常男性において、僧帽筋のマッサージはFRC、RVを有意に低下させる.
著者
立石 貴之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.659-665, 2021-06-15

Point ●横隔膜の機能は構造上,胸郭の形状と脊柱アライメントに依存する ●脊柱のコントロールにおいて,横隔膜の最大の関与は腹腔内圧の発生である ●課題遂行時には呼吸を止めないように注意を払う
著者
立石 貴之 渡部 琢也 脇田 瑞木 藍原 由紀 勝田 若奈 早乙女 貴子 小林 庸子 望月 久 村田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.227-232, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
17

〔目的〕外来のパーキンソン病(PD)患者への個別的理学療法を数組同時に行うことで集団的要素を取り入れたプログラムの実施結果について検討した.〔対象と方法〕外来PD患者26名に,集団的要素を含む60分間のプログラムを週1回,12週間実施し,実施前後のPD患者の運動機能およびQOLの変化を評価し,本プログラム実施後の運動習慣獲得状況を調査した.〔結果〕10 m歩行の歩数,6分間歩行距離,PDQ-39の2項目に有意な改善を認めた.運動習慣は実施後6ヵ月時点でも維持されていた.〔結語〕今回実施したプログラムはPD患者の身体機能およびQOLの改善,運動習慣の獲得に寄与する可能性がある.