著者
望月 久
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.33-38, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
14
被引用文献数
13 11

脳卒中の機能障害は多岐に渡るが,本稿では脳卒中の中核的機能障害である運動麻痺と痙縮に的を絞り,それらのとらえ方と評価法について検討する。運動麻痺についてはブルンストロームによる片麻痺の回復段階と脳卒中機能障害評価法(Stroke Impairment Assessment Set, SIAS)の麻痺側運動機能評価,痙縮についてはModified Ashworth ScaleとModified Tardieu Scaleを対比して検討する。また,脳卒中患者のバランス能力評価についても筆者らの研究結果も含めながら検討する。
著者
森田 和宏 望月久稔 山川 善弘 青江 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.2563-2571, 1998-09-15

自然言語辞書に構築される基本語彙は有限であるが,それら基本語の関係を定義することで,膨大な数の関係情報が作り出される.複合語,慣用表現,格関係などもこの関係情報の範疇に属し,これらを基本単語の共起情報と呼ぶ.共起情報を基本単語の並びとして格納すると,記憶効率が非常に悪くなるので,これら関係情報の効率的な記憶検索技法は重要な課題である.本論文では,基本単語からなる共起情報をトライ構造で効率的に記憶検索する手法を提案する.本手法では共起情報を構成する2つの基本単語を1つのトライに登録し,関係情報をトライの葉ノード間のリンク関数で定義する.共起情報の登録による記憶量の増加はこのリンク情報のみとなり,リンク情報もトライに格納する.本手法では,トライのアークを高速にたどる必要があるので,これをO(1)の計算量で実現するダブル配列法を適用する.この結果,共起情報の検索時間は,基本単語数や葉ノード間のリンク数に依存しない一定の計算量となった.約10万語の基本単語に対して,複合語,同音語判定の共起語,格構造辞書などの約100万の関係情報を構築した実験結果より,検索時間は1.2msと一定となること,また記憶量は従来法より1/3に圧縮できることが分かった.Collocational information is very useful for natural language processing systems and it includes compound words,cooccurrency words,verbs and the role of nouns in the case slot,and so on.Collocational information can be constructed by combining basic words infinitely,so it is important to propose a fast and compact structure representing them.This paper presents an efficient data structure by introducing a trie that can define the linkage among leaves.It enables us to decrease the amount of memory required for the same basic words.Theoretical observations show that the worst-case time complexity of retrieving collocational information is a constant,independent of the number of words and linkages.From the simulation results for collocational information,it is shown that the presented method is about 1/3 smaller than that of the competitive methods.
著者
蔵満 琢麻 望月 久稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.96-109, 2009-06-29

自然言語処理における辞書構造として,トライ法が広く用いられているが,日本語のように分かち書きされていない言語のテキストからキーワードを検出するためには,解析対象となるテキストのあらゆる位置から探索する必要がある.より高速に形態素解析を行うため,複数のキーワードをテキストから線形時間で検出する AC 法を用いる手法が提案されているが,AC 法はトライ法よりも使用する記憶領域が大きい.本論文では,AC マシンにおける遷移のうち,多分岐の節点における遷移をダブル配列に,1 方向分岐の節点における遷移をダブル配列と異なる配列にそれぞれ定義することで,照合時に必要な記憶領域を抑制し,高速性とコンパクト性をあわせ持つ AC マシンを実現する手法を提案する.日本語形態素 40 万語を登録した実験で,提案手法はトライを用いた辞書システム Darts とほぼ同等の記憶領域で対象テキストを 60~87% の時間で照合した.Trie structure is used widely, such as dictionary for natural language processing. However, it is not so effective using a trie structure for the morphological analysis of languages without explicit word boundaries like Japanese because we have to perform dictionary lookup for all possible substrings of the text. This paper proposes an efficient dictionary structure that is Aho-Corasick Machine using Double-array defining multi-way branch and different arrays defining oneway branch. Our experiments show that the matching time of the proposal machine decreased to about 60%-87% against other structures.
著者
蔵満 琢麻 松浦 寛生 望月久稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.1-14, 2008-09-30

パターン照合は文書処理やアンチウイルスなどのソフトウエアに用いられ,メモリ消費量が小さく,照合速度が高速なアルゴリズムが求められる.AC 法は複数パターンの照合に有効な手法で,AC マシンと呼ばれる一種の有限オートマトンを登録パターン集合から構築し,対象データを線形時間で照合する手法である.本論文では,ダブル配列を用いて遷移先関数を拡張した AC マシンを提案し,他手法との比較実験によりその有効性を示す.また提案マシンの応用例として,アンチウイルスソフト ClamAntiVirus に提案マシンを実装する.実験の結果,提案マシンは他手法よりも小さい記憶領域でデータ構造を実現し,対象データを高速に照合した.また,提案マシンを実装した ClamAntiVirus は,システムの稼働時間を 72%,照合時に必要な記憶領域を 70% にできることを示した.Pattern matching is used for word processing and software such as antivirus. It is important to high-speed response and compact memory. Aho-Corasick algorithm is an efficient multiple pattern matching algorithm. In this paper, we present a multiple pattern matching machine with a double-array structure. It has the transition function extended. And also, we implement the proposal machine to ClamAntiVirus as an applied example. Our experiments show that the operation time decreased to 72% and required storage area decreased to 70%.
著者
近藤 夕騎 望月 久 加藤 太郎 鈴木 一平 板東 杏太 滝澤 玲花 吉田 純一朗 西田 大輔 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20012, (Released:2020-10-30)
参考文献数
8

目的:Ehgoetz Martensらが開発したすくみ足の詳細を把握できる質問紙Characterizing Freezing of Gait questionnaire(C-FOGQ)の日本語版を作成し,患者による回答時間などの予備調査を行うこと.方法:日本語版C-FOGQは,原著者から許可を得た後,異文化適応に関する国際的ガイドラインに準じて,①順翻訳,②逆翻訳,③予備調査のプロセスを経て作成した.予備調査では,すくみ足を訴えるパーキンソン病関連疾患患者39名から日本語版C-FOGQによる回答を得て,回答時間,誤回答・無回答率を調査した.結果:英語原版から日本語への順翻訳ならびに英語への逆翻訳過程において,重大な言語的問題は生じなかった.予備調査の結果,平均回答時間は526.8秒であり,誤回答・無回答率は1%未満であった.SectionⅡにおける総合得点の平均は20.0点であった.結論:作成した日本語版C-FOGQは言語的妥当性を有し,10分程度で回答でき,誤回答や無回答率も少ないため,本邦でもすくみ足の評価として使用可能と思われる.
著者
立石 貴之 渡部 琢也 脇田 瑞木 藍原 由紀 勝田 若奈 早乙女 貴子 小林 庸子 望月 久 村田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.227-232, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
17

〔目的〕外来のパーキンソン病(PD)患者への個別的理学療法を数組同時に行うことで集団的要素を取り入れたプログラムの実施結果について検討した.〔対象と方法〕外来PD患者26名に,集団的要素を含む60分間のプログラムを週1回,12週間実施し,実施前後のPD患者の運動機能およびQOLの変化を評価し,本プログラム実施後の運動習慣獲得状況を調査した.〔結果〕10 m歩行の歩数,6分間歩行距離,PDQ-39の2項目に有意な改善を認めた.運動習慣は実施後6ヵ月時点でも維持されていた.〔結語〕今回実施したプログラムはPD患者の身体機能およびQOLの改善,運動習慣の獲得に寄与する可能性がある.
著者
鵜久森 将隆 島野 達雄 望月 久稔
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第70回, no.人工知能と認知科学, pp.509-510, 2008-03-13
著者
望月 久
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.192-196, 2005-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

バランスは理学療法に関連の深い用語であるが, 姿勢の変化や外乱に対する立ち直り反応や平衡反応といった姿勢反応としてのバランス, 生体力学的分析に適した身体重心線と支持基底面の関連性としてのバランス, 特定の検査方法を通してみた結果としてのバランスなど, バランスに対しては様々な捉え方があり, その意味内容は理学療法士によって, また同じ理学療法士でも使用する文脈によって異なっているように思われる。本論では, バランスについての考え方を整理し, バランスの評価およびバランス改善へのアプローチについて検討したい。バランスの概念的整理 1. バランスをみる視点 一般的な意味におけるバランスは, 姿勢保持や動作時に転倒せず安定してその動作が遂行できること, または遂行していることを指していると思われる。Shumway-Cookらは, 姿勢調節には身体(姿勢)の方向付け(postural orientation)と安定性(postural stability)の2側面があり, バランスは後者に関する概念と捉えている。理学療法士は対象者のパフォーマンスを観察し, その状況から対象者が実施している動作の自立度や安定性, パフォーマンスを実現させている身体能力, 調節機構としての感覚, 運動神経系の機能を推測している。それら全てを漠然とバランスという用語で表していることもあり, 姿勢調節に関連する身体能力や神経機構を指していることもある。
著者
望月 久 金子 誠喜
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.205-213, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
10 2

[目的]パフォーマンスに基づく臨床的なバランス能力評価指標開発のための実施したアンケート調査の結果を報告する。[対象]バランスに関する研究報告がある理学療法士23名より回答を得た。[方法]郵送法にてアンケート調査を実施した。質問項目はバランスの定義,バランス能力測定の枠組み,臨床的なバランス能力測定法に必要な条件,バランス能力測定の現状などとした。[結果]バランスの定義やバランス能力測定の枠組みは理学療法士間での意見の違いがあった。臨床的なバランス能力評価指標としては,測定時間の短いこと,結果の客観性,結果の臨床的意味などが重視されていた。また,現在使用されている評価指標についても,測定の簡便性や結果の臨床的な有用性など,実用性の面では種々の問題があることが確認できた。[結語]今回の結果を参考に,より実用的な臨床的バランス能力評価指標を考案したいと考えている。
著者
上田 泰久 上條 史子 大竹 祐子 大川 孝浩 千代丸 正志 望月 久
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-5, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
16

〔目的〕高齢者における立位姿勢の安定性と頭頸部肢位・足趾筋力の関係について検討することである.〔対象と方法〕対象は健常高齢男性30名とした.立位姿勢の安定性は姿勢安定度評価指数(IPS)で評価した.重心動揺計を使用して開眼・開脚10 cmの立位で,頭頸部肢位(中間位・屈曲位・伸展位・側屈位・回旋位)でIPSを測定した.また足指筋力測定器を使用して端座位で左右の足趾筋力を測定した.〔結果〕IPSは屈曲位と側屈位間でのみ有意な差が認められた.全ての条件におけるIPSと足趾筋力はそれぞれ有意な正の相関が認められた.〔結語〕立位姿勢の安定性は屈曲位より側屈位で低下した.またIPSが高いと足趾筋力も大きい傾向であった.
著者
望月 久
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.192-196, 2005-06-20
被引用文献数
4 4

バランスは理学療法に関連の深い用語であるが, 姿勢の変化や外乱に対する立ち直り反応や平衡反応といった姿勢反応としてのバランス, 生体力学的分析に適した身体重心線と支持基底面の関連性としてのバランス, 特定の検査方法を通してみた結果としてのバランスなど, バランスに対しては様々な捉え方があり, その意味内容は理学療法士によって, また同じ理学療法士でも使用する文脈によって異なっているように思われる。本論では, バランスについての考え方を整理し, バランスの評価およびバランス改善へのアプローチについて検討したい。バランスの概念的整理 1. バランスをみる視点 一般的な意味におけるバランスは, 姿勢保持や動作時に転倒せず安定してその動作が遂行できること, または遂行していることを指していると思われる。Shumway-Cookらは, 姿勢調節には身体(姿勢)の方向付け(postural orientation)と安定性(postural stability)の2側面があり, バランスは後者に関する概念と捉えている。理学療法士は対象者のパフォーマンスを観察し, その状況から対象者が実施している動作の自立度や安定性, パフォーマンスを実現させている身体能力, 調節機構としての感覚, 運動神経系の機能を推測している。それら全てを漠然とバランスという用語で表していることもあり, 姿勢調節に関連する身体能力や神経機構を指していることもある。
著者
吾郷 万里子 岡島 邦彦 清水 美和 望月 久也 山根 千弘
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.119-123, 2005 (Released:2005-12-15)
被引用文献数
2 2

Several composites of bacterial cellulose and inorganic compound were obtained by cultivation of a noble bacterial cellulose producing Entero-bactor species under the presence of inorganic substances. It was found that the presence of non-soluble inorganic substances gave considerable influence on bacterial cellulose production itself. Observation of SEM and X-ray diffraction patterns of the obtained composites revealed that cellulose microfibril became narrower and thinner, and the degree of the planner orientation of the microfibril became larger in the some compounds with specific inorganic material species. Above such results might open a new way to prepare the new materials with noble and potential functions.
著者
望月久貴著
出版者
溪水社
巻号頁・発行日
2007
著者
中村 康正 望月久稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.94, pp.117-122, 2005-09-30

トライ法は,自然言語処理システムの辞書情報構築を中心に広く用いられている.このトライ法のデータ構造として,青江らが提案したダブル配列法がある.ダブル配列法は高速性とコンパクト性をあわせもっており有効なデータ構造であるが,動的検索法に比べデータの更新処理が高速であるとはいえない.そこで現在では未使用要素を単方向リストとして連結する手法が知られているが,トライ木の希点を追加および削除する際に大きなコストを必要とする.そこで本論文では,未使用要素を双方向リストとして連結することにより追加処理を高速化し,さらに削除時間を抑えるアルゴリズムを提案する.10万語の辞書データに対する実験を行った結果,追加速度は単方向リストよりも約1.5倍,削除時間は未使用要素リストを用いない従来法と同等となることが判った.A trie is used widely, such as dictionary information construction of natural language processing system. As a data structure of trie, there is the double-array structure which Aoe and others proposed. A double-array structure is an efficient data structure combining fast access with compactness. However, the updating processing is not faster than other dynamic retrieval methods. Then, although the technique of connecting empty elements as linked list is known now, big cost is needed in the node of a trie tree is inserted and deleted. In this paper, we presents a fast insertion algorithm by connecting empty elements as doubly list and reduction algorithm of deletion time. From the simulation results for 100 thousands keys, it turned out that the presented method for insertion is about 1.5 times faster than the linked list method, and deletion time is equivalent to original method which is not used 1Inked list.