著者
端 憲二 石川 雅也 鈴木 光剛
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.339-344,a1, 1996-04-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

農村で総合的に水質を保全するためのひとつの方法として湿地利用がある。本報では, 湿地が有する窒素除去機能および利用方法やその基本的な考え方について述べるとともに, 湿地模型を利用した窒素除去試験の結果を紹介しつつ, 浄化作用に影響する主な要因について解説した。湿地模型を用いた試験では, 滞留時間の増加に伴い, アンモニア態窒素除去率が上昇すること, 除去速度は濃度に依存することなどを明らかにした。一方で, 水温と日射量が水生植物の窒素吸収に影響を与えていることが示唆された。そこで, 日射および水温を加えた簡単な数理モデルを作成し, シミュレーションを行った結果, 現象を比較的精度良く再現できることがわかった。
著者
酒井 昭 石川 雅也
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.15-20, 1979-01-25

亜高山または亜寒帯性針葉樹の冬芽は-30〜-40℃の温度範囲で枝条原基のみが凍死することが知られている。このことは枝条原基がこの温度範囲まで過冷却後細胞内凍結をおこして死ぬ可能性を示している。このことを確かめるために, 針葉樹の冬の芽の示差熱分析を行なった。亜高山または亜寒帯性モミ属の冬芽は-5〜-8℃で外部芽鱗が凍結したのち, 枝条原基は約-30℃まで過冷却した。また, 芽から枝条原基, その直下にある厚角組織およびそれらの外側をとりまくうすい内部芽鱗をとり出し熱分析したところ, 枝条原基は約-30℃まで過冷却した。しかし, 開舒20日前の春の芽の枝条原基は-15℃までも過冷却しなかった。暖帯性モミ(A.firma)の冬芽の枝条原基は, その凍死温度である-20〜-22℃まで過冷却した。しかし, トウヒ属の冬芽では-5〜-8℃での外部芽鱗の凍結につづき, または少しおくれて枝条原基が凍った。カラマツ属の冬芽の示差熱分析では, 葉原基の凍結に由来すると思われる多数の小さい熱の放出が認められた。温帯性落葉広葉樹と異なり, 針葉樹の枝の木部では-30〜-40℃までの過冷却は認められなかった。