- 著者
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竹内 幹雄
小松 秀昭
中谷 登志男
- 出版者
- 日本ソフトウェア科学会
- 雑誌
- コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.4, pp.355-362, 2003-07-25 (Released:2012-02-15)
Javaの高速化の研究が盛んになされているが,数値計算の分野では依然Fortranに水をあけられたままである.その理由の1つに,浮動小数点演算の厳密な正確さ(accuracy)が原因で最適化が困難なことがある.とりわけ,融合型積和演算(fused multiply-add (FMA))命令や,再結合(reassociation)を利用できないことが,Javaの性能に大きく影響している.この論文では,浮動小数点演算の正確さに関する投機(floating-point (FP) speculation)を提案する.FP speculationは,既存アーキテクチャの余ったハードウェア資源(浮動小数点レジスタと演算ユニット)を利用して,各最適化対象に対し正確さの異なる2通りの計算(投機計算と検算)を同時に実行することで,Javaの言語仕様を満たしつつ平均実行時間を短縮する.