著者
竹村 仁美
出版者
九州国際大学
雑誌
九州国際大学法学論集 (ISSN:1341061X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.117-149, 2010-07
著者
佐藤 友紀 都留 孝治 安藤 真次 竹村 仁 廣戸 桃香 井上 航平 真田 美紗 廣原 円 高森 洋子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.G-59_2-G-59_2, 2019

<p>【はじめに・目的】今回,大分県中部保健所より「働き盛りの健康サポートプロジェクト」(以下,事業)として委託事業を受諾し,製造業系事業所の特性に合わせた運動介入を実施し,一次予防活動を実践した結果について報告する.</p><p>【方法】大分県中部保健所管内の各事業主に向けて導入研修会を開催し,アンケートや保健師によるヒアリングから事業所を選定した.事業目的は,「病気による事故や腰痛の予防」,「生活リズムや運動継続による体調の改善」とし介入した.対象者は事業所の管理職が,運動実践への取り組みが必要(検診結果の判定がC,独身で食習慣に偏りのある者,運動習慣のない者等)と判断した13名(平均年齢41.5±10.5,男性13名).介入期間は平成29年9月〜12月までの3ヶ月間とし,保健師同行のもと,初期評価,初回運動指導,2回目の運動指導,最終評価の合計4回事業所へ訪問介入した.また,評価や指導に関しては,従業員の仕事の一環とし,業務の時間内に実施した.運動介入の時間は約90分であり,内容は,ミニ講座(生活習慣病,食事,腰痛),運動指導(職場で行える4秒筋力トレーニングや有酸素運動,腰痛予防やラジオ体操の指導),部署別でのグループワークを実施した.その他,手帳を作成し目標や体重のグラフ,運動実践記録の見える化を図った.さらに,万歩計の配布や歩数の記録,努力した従業員への褒賞なども提案した.評価項目は,身長,体重,BMI,skeletal muscle index(以下,SMI),体脂肪率,ウエスト周径,身体活動量,健康感などに関して意識調査アンケートを実施した.介入前後の比較には,対応のあるt検定を用い,有意水準は5%とした.</p><p>【結果】運動介入前後の比較では,BMI(25.1±3.0→24.7±3.4,p>0.05),SMI(8.2±0.8→8.2±0.9,p>0.05),ウエスト周径(85.4±7.2→84.7±8.5,p>0.05)において,変化は認めなかったが,体脂肪率(22.2±6.3→20.5±6.8,p<0.05),身体活動時間(323.8±567.3→415±608.9,p<0.05)においては,有意な改善を認めた.今回の事業に参加して,「従業員同士のコミュニケーションが増加した」や「寝付きがよくなった」などの感想も聞かれた.</p><p>【結論】地域の事業所に対し,保健師と理学療法士が協働し,事業所に訪問を行い,業務内容の特色に合わせて運動指導することで,有意に体脂肪率の減少や身体活動量に増加を認め,健康に対する意識や運動に対する意欲が向上する結果となった.さらに,職場ぐるみの介入が,より効果を高め職場の雰囲気や働きやすい職場環境になるのではないかと考える.今後も産業疾病予防の領域まで理学療法士が地域の保健師や市の職員と協働し,職域の拡大を図っていく必要があるのではないかと考える.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】事業所および対象者には,本事業の趣旨と内容を,データの活用方法に関して文章による説明を行い,書面にて同意を得た.本事業は大分県中部保健所から委託事業として実践したが,その他の利益相反に関する開示事項はない.</p>
著者
徳田 幸之介 小松 由佳 竹村 仁
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.208, 2008 (Released:2008-12-01)

【はじめに】強制把握とは、触圧覚刺激により把握反射が誘発され、自分の意思では手を離せなくなる状態であり、近年、強制把握反射に対する振動刺激の有効性について報告がみられている。今回、脳出血後2ヶ月経過した時点で強制把握の認められる患者に対して振動刺激を用いて、上肢機能及びADLの改善を認めた症例について報告する。【症例紹介】68歳、男性診断名:右前頭葉皮質下出血。平成19年9月に発症。他院での2ヶ月の入院後、当院へリハビリ目的にて入院。初期評価(平成19年11月27日) 主訴:「左手で一度握ったら、なかなか離れない」Br.stage:V-2:V-3:V-2 grade10:11:10 ROM:左肩関節 屈曲90°外転95°MMT:右上下肢4 左上下肢4-握力:右25.0kg 左11.0kgSTEF:右85点 左9点高次脳機能障害:強制把握、全般性注意障害ADL: FIM117/126点食事;茶碗から手が離れない更衣;下衣の引き上げが不十分入浴;手すりを離せず、出入りが不安定【訓練内容】訓練開始時に振動刺激を麻痺側掌手面に5分間入力しながら、手指の「握り」と「離し」の訓練を行った。用いた機材は一般的な家庭用のマッサージ機器(オムロン社製マッサーシ゛ャー60Hz)を使用した。この刺激入力を5分間実施したのちに、(1)上肢機能訓練(客体移動訓練、自己教示法等)、(2)趣味活動(妻と共に園芸)、(3)ADL訓練(更衣動作、食事動作等)を施行した。【最終評価】主訴:「手が離せるようになった」Br.stage:V-2:V-3:V-2 grade10:11:10ROM:左肩関節 屈曲115°外転100°MMT:右上下肢4 左上下肢4-握力:右28.0kg 左13.0kgSTEF:右85点 左27点高次脳機能障害:強制把握減弱、全般性注意障害ADL:FIM121/126点 食事;茶碗の持ち離しスムーズ。薬袋も破ることも可能 更衣;下衣から手が離れる 入浴;手すりから手が離れ、安定した浴槽の出入り可能【強制把握の機序について】振動刺激が強制把握を抑制する機序については(1)手掌への強い振動刺激による同部位への感受性低下、(2)筋紡錘を含む固有感覚入力の増加を介した補足運動野の賦活(3)脊髄レベルでの把握反射の抑制といわれている。これらのメカニズムのいずれの関与が大きいかは、今後の振動刺激時の脳のイメージングや関連の研究によって明らかになると思われる。【考察】利き手交換など使用しやすい手で代償することで、ADLが早期に自立していくことは重要だが、そこには学習された不使用を招く恐れが少なからずある。不使用は容易に使わない麻痺手を生み出し、廃用症候群を作り出してしまうことは無いだろうか。今回は、この悪循環を断ち切るための一つの方法として振動刺激の導入を試みた。それにより、強制把握が抑制され、その状態下で作業療法を実施した結果、廃用に陥らずに、ADLで『使う手』にすることができたと考えた。