著者
笘米地 真理
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
no.74, pp.167-185, 2015

2014年4月、オバマ大統領が来日し、首脳会談後に日米共同記者会見が行われた。日本では、尖閣諸島は日米安全保障条約第 5 条の適用対象であることをオバマが明言したことが特に大きく報道された。しかし、オバマは、そのあとのくだりで、米国の立場は新しいものではなく、米国は尖閣諸島の領有権に関する最終的な決定については特定の立場を取っていない旨を述べている。さらに、オバマは、この問題をめぐって、日中間で対話と信頼構築ではなく、事態を悪化させる行為を続けることは、大きな誤りだとも述べたが、これらが報道されることは少なく、「尖閣は安保の適用対象」ということが大々的に喧伝された。尖閣諸島の領有権についての米国の立場は、「施政権は返還するが主権については特定の立場はとらない」と沖縄返還の際に米側が表明して以来、一貫したものである。さらに、米国は、北方領土と竹島についても、「主権については特定の立場をとらない」としている。このような日本の「領土問題」をめぐる米国の「中立政策」については、豊下楢彦らが米国の意図的な戦略だとしている。本論文では、日本にかかる「領土問題」、とりわけ尖閣諸島問題をめぐる米国の「中立政策」が、紛争の火種を残すための意図的なものであるか否かを検証する。さらに、米国が中立政策をとった背景が、当時の米国と台湾との間の繊維交渉に対する見返りだとの主張があるが、尖閣諸島問題にかかる米国による中立政策の背景を考察し、問題の解決に向けた一つの視座を提示したい。
著者
笘米地 真理
出版者
法政大学公共政策研究科
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
no.3, pp.139-153, 2015-03

尖閣諸島に関する日本政府の「基本見解」は,「尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在していません」である。これを見れば,明治政府が1895年に尖閣諸島を編入する閣議決定を行って以来,一貫して政府がそのように主張していたものと考えがちである。しかし,筆者は国会会議録や関連する公文書を精査し,「尖閣諸島の領有権をめぐって解決すべき問題はそもそも存在しない」と最初に政府が明言したのは1985年4月であることを修士論文で明らかにした。従来の先行研究では,日本政府による領有権問題の否定は1990年代からとするものはあるが,1985年4月の安倍晋太郎外相の国会答弁が起源だと解明したものは,管見の限り見当たらない。しかも,その安倍外相の答弁には,尖閣「問題」を解決するためのヒントとなりえる現実的な視点も含まれている。2013年12月26日,安倍晋三首相は,2006年から2007年の第一次内閣時には自制していた靖国神社参拝を実行し,中国側は強く反発した。他方,首相の父親である安倍晋太郎は,1985年4月に外相として,石油共同開発についても念頭においた上で,大陸棚の開発については「今後中国側とも相談をしていく必要がある」と答えていた。自衛隊機への中国軍機による異常接近など,その後も継続する緊張状況もふまえ,尖閣諸島「問題」に対する政策的解決策を提言したい。"The Basic View on the Sovereignty over the Senkaku Islands" : quoted from the official website of MOFA (Ministry of Foreign Affairs of Japan) is "There is no doubt that the Senkaku Islands are clearly an inherent part of the territory of Japan, in light of historical facts and based upon international law. Indeed, the Senkaku Islands are under the valid control of Japan. There exists no issue of territorial sovereignty to be resolved concerning the Senkaku Islands." If you look at this, you tend to think as that since conducted a Cabinet decision that the Meiji government incorporated the Senkaku Islands in 1895, the government had claimed so consistently. However, I was reviewing the official documents and related parliamentary proceedings, the government had stated in the first "There exists no issue of territorial sovereignty to be resolved concerning the Senkaku Islands", said that it is an April 1985 I made it clear in the essay. Some earlier studies acknowledged at the Japanese Government had been denied territorial issue since 1990s. However, in my research, I could not find a study that clarified the Foreign Minister, Mr. ABE Shintaro as the origin. Moreover, the answer of the Foreign Minister Abe, realistic view, which can be a hint to solve the Senkaku a "problem" are also included. Based on such abnormally close by the Chinese military aircraft to the SDF machine, also tension situation to continue then greatly retouched in part of the contents of my master thesis, you want to recommend policy solutions Senkaku Islands dispute.