著者
笠井 倭人
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2001

博士論文
著者
笠井 倭人
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
2001-07-23

新制・論文博士
著者
笠井 倭人
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.116-132, 1957-03-01

幾度かの結集期を経て成立した記紀系譜は、そのうちに実に多様な歴史的条件を輻輳さしており、後代的な改変・添加のあとをそこに認め得る。記紀研究はまずこの改変・添加のあとを丹念にときほぐし、そのあとを刻明に追求して行くことからはじめねばならない。本論はそうした問題意識のもとに、主として婚姻史料をとりあげ、記紀成立の一側面を考察してみた。そしてその結果、開化天皇以前の皇統系譜・日子坐王系譜・天日矛系譜等の諸系譜には、天武朝の婚姻形態を土台として成立したと思われる要素の存在が明らかとなった。そしてこのことは、その成立をめぐって幾多の議論が重ねられて来た開化天皇以前八代の記載についても、一つの解決の見通しが与えられるであろう。