6 0 0 0 閉経後妊娠

著者
笠井 靖代 杉本 充弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.976-984, 2015-10-10

●「卵子提供」に関しての指針やその体制の整備がないなかで,日本では2000年頃より50歳以上の女性の分娩が増加しており,2015年現在,年間約50人の女性が出産している. ●閉経後妊娠には,卵子提供による母体リスクと高年齢化による母体リスクが両方存在するが,卵子提供を含めた生殖医療に関する法整備がない.特に卵子提供については,学会の見解もなく,早急な対応が必要である. ●妊娠・出産・育児は連続した営みであり,妊娠を目的とした不妊治療,出産を目的とした周産期医療と分断されることなく,妊娠・出産にかかわる医療は,子どもが成人するまでの育児を見据えて行われる必要がある.
著者
藤岡 泉 笠井 靖代 寒川 早織 芥川 香奈 有馬 香織 渡邊 理子 宮内 彰人
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.91-97, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
15

てんかん合併妊娠の周産期管理の課題を明らかとするため,2014年から5年間に当センターで分娩した15, 344例のうち,てんかん合併妊娠58例(0.38%)を抗てんかん薬の服薬状況に基づき4群に分け,周産期予後を後方視的に解析した. 4群の内訳は,a群(服薬あり怠薬なし)22例,b群(服薬あり怠薬あり)4例,c群(服薬なし妊娠判明後中止)1例,d群(服薬なし妊娠前から)31例であった.分娩週数・出血量・児体重・Apgar score,臍帯血pHに有意な差はなかった.妊娠中の発作は13例(22.4%)で認め,怠薬した症例などにみられた.バルプロ酸が必須の患者では妊娠判明後の薬剤変更が発作原因となる可能性があった.母乳育児は混合を含めると55例(94.8%)が行っていた. 妊娠前から母児の影響を考慮した薬剤の選択と,本人が妊娠中の発作コントロールの重要性を十分に理解することが重要である.