著者
笠原 美香 吉池 信男 大西 基喜
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.145-153, 2021-05-31 (Released:2021-06-16)
参考文献数
29

目的:青森県内と長野県内の高校生を対象とし,ヘルスリテラシー(Health Literacy: HL)に関して両県の地域差を含む実態を明らかにすること,およびHLの高低を規定する要因を明らかにすること.方法:2018年7月3日~24日に,青森県B市6校806人(公立,私立),長野県C, D市4校978人(公立のみ)の高校2年生を対象に自記式質問紙調査による横断研究を行った.調査項目は,性別,相互作用的・批判的ヘルスリテラシー(Communicative and Critical Health Literacy: CCHL),インターネット利用状況,学習面に影響すると考えられる「将来の夢」や目標を持っている,自分は「やればできる」と思う,学習意欲(勉強は好きである,保健の学習は好きである),「将来の生活習慣予測」である.各項目について地域間で比較を行った後に,重回帰分析によってCCHLが高いことと関連する因子を検討した.結果:青森県の高校生は,長野県の高校生に比べて,インターネットの使用頻度やCCHLが高かった.また,CCHLが高いことは,インターネット利用状況,「将来の夢」や目標を持っている,自分は「やればできる」と思う,保健学習が好きであること,将来,定期的な運動をする,定期的に体重管理をすると予測していることと,正の関連が見られた.結論:高校生のHL教育を推進していく上では,インターネットを利用した健康情報の活用,「将来の夢」や目標を持つこと,自分は「やればできる」と思える状況を促す教育が重要である.
著者
笠原 美香 千葉 敦子 大西 基喜
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.225-235, 2022-03-15 (Released:2022-03-23)
参考文献数
14

目的 COVID-19が保健師自身やコミュニケーションに関わる保健師活動へ及ぼす影響を集約,分析し,コロナ禍におけるコミュニケーションの在り方ついて示唆を得ることである。方法 青森県内の全市町村(40か所)で働く保健師474人を対象に,基本属性,陽性・濃厚接触者への支援や関わりの有無,保健師の身体面・精神面への影響,保健師活動領域別影響,マスク着用での住民への影響,感染対策による「良い影響」や「悪い影響」,利用している連絡・情報共有・支援方法,新たな課題や取り組み・工夫について,自記式質問紙調査を行った。実施期間は,2020年9月23日~10月7日である。分析はSPSSとKH Coderを用いて行った。結果 228人より回答を得た(回収率48.1%)。陽性,濃厚接触者への支援や関わり有は11.4%であった。6割以上の保健師が精神面に影響を受けていた。COVID-19下のマスク等着用による,住民との意思疎通においてコミュニケーションへの支障が認められた。一方,住民との信頼関係構築にはあまり影響はなかった。COVID-19対策の進展で,保健師活動への影響で良い影響としては,「感染症予防の意識向上と対策の進展」,「オンラインを含めて会議の効率化」,「事業の見直しの機会となったこと」が挙げられ,悪い影響としては「住民とのコミュニケーションの希薄化」,「感染者等への誹謗や中傷」,「住民のストレスの増加」,「外出自粛の影響」,「必要な保健事業実施困難」が挙げられた。利用している連絡,情報共有,支援方法は電話が多かった。新たな課題や取り組み,工夫の主なものとして,「感染対策への配慮の進展」,「消毒・体温測定,換気など予防の取り組み」,「新しい生活様式の定着に向けた取り組み」,「集団検診の方法の見直し」,「事業見直し,保健指導上の工夫」,「オンライン会議など,会議や研修の見直し」の6カテゴリーが示された。結論 COVID-19下で6割以上の市町村保健師が精神面に何らかの影響を受けており,保健師活動に大きな課題が突き付けられる厳しい状況が浮き彫りになった。とくに住民とのコミュニケーションへの支障は大きいものがある。しかし,制約を受けながらも感染対策を取り入れた活動の中で,新たなコミュニケーションの在り方が模索されている。今後の方向性を見据え,時代に合う保健師活動を探究する必要がある。