著者
笹山 大輔 袁 尚民 畠中 知子 深山 浩 東 哲司
出版者
The Society of Crop Science and Breeding in Kinki, Japan
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.35-40, 2022 (Released:2022-10-21)
参考文献数
14

O. glumaepatula浮稲型系統IRGC105668とO. sativa非浮稲品種T65の交配を経て作出された31のO. sativa/O. glumaepatula染色体置換系統 (GLU-ILs) の深水に対する節間の伸長反応を調査した。29のGLU-ILs系統において深水下での節間伸長がみられた。それらのうち,O. glumaepatulaのIRGC105668に由来するSK2遺伝子・SK2-like遺伝子をもつGLU-IL135と,IRGC105668に由来するACE1遺伝子をもつGLU-IL110は,最も節間伸長が促進された系統であった。しかしながら,GLU-IL104とGLU-IL107はIRGC105668に由来するSD1遺伝子をもつが,これらの系統の節間伸長は強くは誘導されなかった。これらの結果は,SKとACE1はO. glumaepatulaの深水下での節間伸長に関与し,それらの寄与は同程度であることを示唆する。
著者
東 哲司 平野 達也 笹山 大輔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アマゾン野生イネ種Oryza grandiglumis の2つの系統は,部分的深水で浮稲と同様に節間の伸長を示し,冠水状態では,冠水耐性イネ品種と同様に成長を停止し,気中に戻すと正常に成長した。これらの系統において,SUBMERGENCE1(SUB1A)遺伝子とSNORKEL (SK)遺伝子は共に検出できなかった。これらの結果は,O. grandiglumis のこれらの系統は,SUB1AとSK遺伝子が関与しないメカニズムによって相反する2つの成適応反応を有することを示す。これらの系統の深水下での節間の伸長促進にはエチレンではなく過湿度環境が引き金となっている。