著者
角田 啓介 小柳 隆人 坂井 俊之 宮下 直也 箕浦 大祐
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1413-1425, 2019-08-15

本稿では,企業や公共機関に代表される階層型組織における業務効率化を目的とし,複数チャットボットを連携させた報告業務支援システムを提案する.多くの場合,組織は階層構造をなし,報告業務は多数の担当者から彼らを束ねる少数の管理者へとなされる.この場合,以下2点の課題がある.(1)担当者は漏れ抜けなく迅速に報告業務を実施することが困難な点(2)管理者は多くの担当者からの報告を迅速かつ的確にとりまとめ,状況の把握したうえで意思決定を行い,担当者へ指示することが困難な点.本稿では上記課題を解決するため,複数チャットボットを連携させた報告業務支援システムを提案する.提案するシステムでは,担当者は報告ボットと呼ばれるチャットボットとの対話を通じて場所を問わず必要な情報を漏れ抜けなく入力でき,迅速かつ正確な報告を実施できるようになる.また管理者は複数の報告ボットより報告された内容をまとめる管理ボットにより,自動的に報告結果のまとめや進捗状況の管理ができるようになり,迅速かつ正確な現状把握と意思決定が可能になる.そして提案システムではこれらのチャットボットが連携することで,担当者・管理者双方の業務効率化が実現される.最後に,提案システムを6,000名規模の大企業での災害対策訓練における安否確認報告に適用した結果,提案システムを用いない場合と比較して迅速に安否情報を集計できたことを確認でき,提案手法の有効性を確認した.
著者
箕浦 大祐 山名 岳志 正木 茂樹 一之瀬 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.962-971, 1998-05-25
被引用文献数
15

ネットワークを介して接続されている各端末にコンピュータグラフィックスを用いて表示される利用者参加型の3次元仮想空間において, 大規模な人数が参加することによって生じるシステムのネットワーク負荷を軽減し, かつそれだけの人数の分身を仮想空間内に見えるようにするためのシステムの設計方法について述べる.仮想空間に利用者の分身を登場させるためにはその分身の仮想空間における位置情報をはじめとする利用者情報をサーバで管理して各利用者の端末に送信する必要がある.そのため通信回線容量と利用者端末の計算機能力の制限から実際にシステム上で有効なサービスを展開するためにはシステムへの利用者の参加者数には限界がある.本論文では, 仮想空間をいくつかの部分領域に分割して利用者の位置情報を管理し, 領域内に存在する利用者は従来どおりサーバから位置情報をもらって分身モデルを表示し, 領域外の利用者は画像によって表示することによってサーバと利用者端末間の通信量を抑える3次元仮想空間における多人数表示方法を提案する.本手法を用いて構築したシステムにおいてサーバと利用者端末の間の通信量および利用者端末の描画時間を計測し, 本提案手法の有効性を確認した.