- 著者
-
箕輪 政博
形井 秀一
- 出版者
- 社団法人日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.3, pp.491-494, 2008-05-20
受傷直後から整形外科治療に併せて鍼治療を行った外傷性頸部症候群の一症例を報告する。症例は軽自動車を運転中に後方より追突された38歳の女性。事故翌日より,手指のしびれ,肩背部の疼痛を自覚して,整形外科治療とともに鍼治療を開始した。鍼治療は上肢下肢の遠隔部の経穴のみに置鍼施術を行い,評価には数値的評価スケールを用いた。治療後に数値が50%以上改善するように治療した結果,治療直後の症状改善は著しく,数値的評価も経過とともに改善した。鍼治療は症状が強い時を主に合計49回行い,7カ月後に症状が緩解したので終了した。外傷性頸部症候群の難治例の患者は,治療の長期化に悩むケースがあり,本症候群に対する鍼灸治療のエビテンスの確立が望まれる。