著者
吉野 巌 篠原 宗弘 吉田 典史 高坂 康雅 工藤 敏夫
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.13-23, 2003-09-30
被引用文献数
1

算数・数学的問題解決においては,理解・プラン段階でのメタ認知が課題解決に非常に重要であること,吹き出しなどに思ったことを書くことがメタ認知的モニタリングを促進しうること,などが示唆されている.本研究では,大学生を対象に,数学学習時に吹き出しを用いることがメタ認知的モニタリングを促進し学習に有益な効果をもたらすどうかを実験的に検討することとした.事前調査により被験者を成績上位・下位,学習内容の既習・未習で群分けした上で,吹き出しあり条件と吹き出しなし条件で行列の乗法に関するプリント学習を行わせた後,同じ内容に関するテストを行わせた.この結果,統計的に有意には至らなかったものの,成績下位群の基本問題,並びに既習群の応用問題において吹き出しの効果が認められた.