著者
永淵 修 中澤 暦 篠塚 賢一
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.29-37, 2022-01-15 (Released:2022-02-16)
参考文献数
21

マイクロプラスチック(MPs)は,都市域のみならず,世界最高峰のエベレスト山の雪やマリアナ海溝の最深部の堆積物,北極圏の雪など地球上のあらゆるところで発見されている.しかし,その輸送経路については未知の部分が多い.ここでは,北および西風が卓越する冬季に人為汚染のない自由対流圏にある高山で樹氷と積雪を採取し,MPsの有無についてFTIRイメージングを用いて検証した.その結果,積雪と樹氷中にMPsの存在が明らかになった.樹氷中には,8.34×106 m-3 から12.3×106 m-3 の範囲でMPsが検出され,積雪中には1.34×106 m-3 のMPsが存在した.樹氷中のMPsの濃度は積雪中の約10倍であった.樹氷中のMPsの粒径分布をみると,100 µm以下に90 %以上が存在し,その大部分が断片であった.構成成分はポリエチレン(PE)が主成分であった.都市域から離れた自由対流圏にある高山にもMPsによる汚染が存在していることが明らかになった.
著者
永淵 修 中澤 暦 篠塚 賢一
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-42, 2019 (Released:2019-01-10)
参考文献数
51

上流域に自衛隊の射撃場を持つ, ため池の鉛汚染について, その起源を特定する方法を検討した。鉛は各鉛鉱山によりその安定同位体比が異なることが知られている。そこで, 射撃場を含む流域内の堆積物と土壌を採取し, その鉛同位体比を基に起源を検討した。その結果, 射撃場の影響下にある土壌・堆積物とその影響を受けないものでは鉛同位体比が異なっていた。さらに, 銃弾に使用されている亜鉛, 銅と鉛の組成比からD.I. (Distance Index) を計算し, D.I.値を用いてクラスター分析を行ったところ射撃場の影響を受けた地点と受けてない地点ではD.I.の値が大きく異なり, クラスターも二つに分離された。したがって, 土壌・堆積物の鉛汚染の起源を特定する方法として, 鉛同位体比を含めた金属組成比によるD.I.およびクラスター分析等の結果を統合する解析法は, 鉛汚染の起源推定の確度を上昇させる優れた手法であることを確認した。