著者
松下 光子 米増 直美 大井 靖子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

過疎地域において別居親族の週末介護を受け暮らす高齢者がその地域で生活し続けることを支えるために、週末介護を受けている高齢者のみ世帯の生活実態と援助ニーズを明らかにし、別居親族と高齢者という家族を支える援助システムのあり方を検討することを目的とした。本研究では、別居親族がほぼ定期的に通い生活を支援し、その支援を含め高齢者のみ世帯の生活が成立している状態を週末介護とした。一定地域に住む75歳以上高齢者のみ19世帯への訪問聞き取り調査と高齢者単独2世帯と夫婦4世帯の計6世帯への約1年間の継続家庭訪問援助を通した調査により、高齢者のみ世帯の生活および週末介護の実態と援助ニーズを明らかたし、援助システムのあり方を検討した。その結果、一定地域調査では、全世帯が別居の子どもと交流があり、子どもの訪問頻度は高齢者と子どもの状況により毎日〜盆正月連休の幅があった。子どもの支援は、経済的支援、心理的支え、地域社会の相互扶助機能維持への貢献という意味があった。高齢者世帯への支えは、子ども、兄弟、他親族、近所の人、地区役員、サービスにより其々特徴があった。継続家庭訪問調査では、子どもの通う頻度は様々だが、高齢者世帯の生活は子どもの支援を含め成り立っていた。必要な援助は、通う子どもの健康管理、サービスとのつながりを作る、地域の援助ネットワーク形成等であった。以上から、週末介護の実態として、「週末介護」よりも「通い介護」という方法を表す表現が適切、「通い家族」という家族のあり方が考えられた。「通い介護」・.「通い家族」を支える支援は、まず、ケアマネジャーによる通う子どもの健康管理への支援と別居家族を含む高齢者への支援・地域保健師と医療機関看護師による通う子どもへの支援が考えられる。介護等サービスは、生命維持、日常生活、健康管理等を担う。さらに、地域住民のネットワークによる見守り、助け合い等が考えられる。
著者
兒玉 慎平 森 隆子 稻留 直子 米増 直美
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.690-701, 2019-11-15 (Released:2019-11-26)
参考文献数
47

目的 常勤保健師数と非常勤保健師年間勤務延数を使用して,市町村保健師のマンパワーと市町村ごとの標準化死亡比(SMR, Standardized Mortality Ratio)の関連を明らかにすることを目的とした。方法 市町村ごとのSMRが公開されている人口1万人以上の1,225市町村を対象とした。対象を保健所設置のタイプで都道府県型と政令市型(政令指定都市・中核市・保健所政令市・特別区)に分け,SMR(全死因,三大疾病による死因)を従属変数,常勤保健師数,非常勤保健師年間勤務延数,その他の保健医療福祉資源を独立変数とした線形混合モデルによる分析を行った。結果 都道府県型,政令市型の全死因(男性,女性)と,都道府県型の悪性新生物(男性)と心疾患(男性),政令市型の悪性新生物(男性,女性)で,非常勤保健師年間勤務延数が多いほどSMRが低い結果となった。常勤保健師数とSMRの関連はみられなかった。結論 市町村保健師のマンパワーの増大が,住民の健康的な生活を向上させていることが示唆された。