- 著者
-
有賀 敏典
松橋 啓介
米澤 健一
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.3, pp.847-852, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
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地域内人口分布は、住民の享受できるサービス、住民の生活行動、住民の受ける環境影響と密接な関係がある。将来望ましい地域内人口分布に誘導するためには、過去の地域内人口分布がどのように変化してきたのか、また、自然・社会増減がどのように寄与してきたのか分析することが不可欠である。本研究では、1980年から2005年の全国の国勢調査・基準地域メッシュデータを用いて、人口規模の小さいメッシュに関しても安定的な自然・社会増減数が得られるように工夫し、センサス間生残率法により各メッシュの自然・社会増減数の推定を行った。また、推定された自然・社会増減数を用いて、市域内での人口分布の偏在・均一化がどのように推移してきたか人口分布ジニ係数を用いて分析し、自然・社会増減が都市の偏在・均一化にどのように寄与してきたのかを分析した。その結果、市域の人口減少が起こる場合に、人口の少ないメッシュからより多くの人口が減少し、市域の人口分布を偏在化させていることが分かった。その要因は自然減少の寄与がメインであるものの、社会減少も人口を偏在化させる方向に働いていることを定量的に明らかにした。