著者
金森 有子 有賀 敏典 松橋 啓介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1017-1024, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
12
被引用文献数
4 5

現在,日本全国で空き家率の増加が大きな社会問題となっている.本研究では,空き家率の増加につながる社会的要因を重回帰分析により明らかにするとともに,それに基づき2035年までの空き家率を推移を推計した.推計の際には,自治体レベルで容易に利用可能であるデータを用いることで,自治体別の空き家率の推計が可能になることを意識した.推計の結果,住宅の着工と滅失のバランスが現状ペースのまま続いた場合,2035年には日本全国の空き家率が約20%に達し,都道府県別の空き家率が広がることが明らかになった.また,着工と滅失のバランスを見直し,各都道府県が2023年には余剰着工率が0となるようにした場合でも,2035年には全国の空き家率は13%程度となり,依然として山梨県では空き家率が16%近くになることが推計された.
著者
石河 正寛 加藤 秀樹 有賀 敏典 金森 有子 金 炅敏 崔 文竹 松橋 啓介
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.1-10, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
17

自動車検査証の個別統計を用いて乗用車の全国市区町村別 CO2 排出量を推計した。また、同統計に含まれていない軽乗用車について考慮する簡便法として、自動車燃料消費量統計から作成した乗用車と軽乗用車の台あたり走行距離に関する一次関数式を仮定した推計を試みた。本研究を通じて、道路交通センサス OD 調査データを用いる地域別乗用車 CO2 排出量推計手法よりも、空間解像度および時間解像度の高い推計値を得ることが可能になったと考えられる。今後、道路交通センサス OD 調査データを用いた推計との比較や、軽自動車検査情報を用いる推計手法の検討を行いたい。
著者
有賀 敏典 松橋 啓介 米澤 健一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.847-852, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
7 7

地域内人口分布は、住民の享受できるサービス、住民の生活行動、住民の受ける環境影響と密接な関係がある。将来望ましい地域内人口分布に誘導するためには、過去の地域内人口分布がどのように変化してきたのか、また、自然・社会増減がどのように寄与してきたのか分析することが不可欠である。本研究では、1980年から2005年の全国の国勢調査・基準地域メッシュデータを用いて、人口規模の小さいメッシュに関しても安定的な自然・社会増減数が得られるように工夫し、センサス間生残率法により各メッシュの自然・社会増減数の推定を行った。また、推定された自然・社会増減数を用いて、市域内での人口分布の偏在・均一化がどのように推移してきたか人口分布ジニ係数を用いて分析し、自然・社会増減が都市の偏在・均一化にどのように寄与してきたのかを分析した。その結果、市域の人口減少が起こる場合に、人口の少ないメッシュからより多くの人口が減少し、市域の人口分布を偏在化させていることが分かった。その要因は自然減少の寄与がメインであるものの、社会減少も人口を偏在化させる方向に働いていることを定量的に明らかにした。
著者
金 炅敏 松橋 啓介 石河 正寛 有賀 敏典 崔 文竹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1282-1288, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
14

1980年から2015年までの8時点の国勢調査の都道府県別5歳階級別人口について、「ベイズ型APC分析」を適用し、都道府県の特徴を類型化した。41道府県では、コーホート効果が最も大きかった一方で、6都府県ではコーホート効果よりも年齢効果が大きかった。就業や就学が影響する年齢効果を「年少型、老年型、就業型」、地域的な経済状況の特徴を反映する時代効果を「増加型、減少型、凸型、凹型」、生まれ年代を反映するコーホート効果を「旧世代型、新世代型」に分類し、それぞれの特徴を示した。この期間の47都道府県の人口変化の特徴を17種類に分類できることが分かった。今後、2020年度の国勢調査の結果を加えることで、最新のトレンドを反映した要因分析が可能になると考えられる。また、市区町村単位のAPC分析を行い、大都市部やその周辺の地域、そして農村部や過疎化が進んでいる市区町村の特徴をより空間詳細に把握することも今後の課題である。