著者
馬場 典子 片山 隆志 香西 武 米澤 義彦
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.168-175, 2013 (Released:2019-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2

中学校新学習指導要領では,理科の第2分野に新しく「遺伝の規則性と遺伝子」の内容が加えられ, 生徒実験として,食塩水と台所用洗剤を用いた簡便法による「DNA の抽出」が提案されている.本研究は,中学校における DNA の抽出実験について,これまでに報告されている材料と方法を再検討し, 中学校でも実施可能な DNA の抽出実験の材料と方法を提案することを目的として行われた.また,報告されている簡便法によって抽出されたものが DNA であることを確認するために,抽出物のUV吸収スペクトルを測定し,市販の DNA 抽出キットによって抽出した DNA と比較した.その結果,DNA の抽出液として,4%食塩水と5%SDS溶液の混合液(24:1)を用いること,材料としてはブロッコリーが適していることが明らかになった.また,抽出物が DNA であるか否かについてはジフェニルアミン法によって確認できることを確かめた.さらに,改良した方法を用いて行った附属中学校での授業実践をもとに,教科書の記述内容の変更を提案した.
著者
米澤 義彦 細川 威典 香西 武
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.148-155, 2019 (Released:2019-12-16)
参考文献数
36
被引用文献数
1

小学校第6学年理科における「水の通り道」の観察実験に使用する「色水」について,小学校や中学校の教科書に例示されている切り花着色剤,食用赤色102号および赤インキの濃度と処理時間について,根のついたホウセンカを材料として再検討を行った.その結果,切り花着色剤と食用赤色102号の「色水」では,いずれも15~30分程度で「色水」が葉に到達することがわかった.また,赤インキの10倍希釈液では約1時間で,50倍希釈液では約2時間で葉まで「色水」が到達した.これらのことから,「水の通り道」の観察実験では,「色水」の種類と濃度を選択することによって,それぞれの学校の時間割に応じて授業が展開できることが示された.
著者
藤本 順子 紅露 瑞代 米澤 義彦
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3-4, pp.140-147, 2014 (Released:2019-09-28)
参考文献数
30

中学校理科第2分野における「花粉の発芽と花粉管の伸長」に関する実験材料,発芽用基材および培地組成について再検討を行った.実験材料としては,従来から使用されているホウセンカやインパチェンスげフリカホウセンカ)に加えて,①花粉が置床後10分以内に発芽すること,②花期が長いこと,③花粉粒内で雄原細胞の分裂が行われており,減数分裂によって染色体数が半減したことが確認できること,などの理由から,ヒガンバナ科のミドリアマナも有効であることがわかった.また,発芽用基材としては,教科書等に記載されている「寒天培地」よりも,市販の「普通セロハン」(吸水性のセロハン)にスクロース液をしみこませた「スクロース―セロハン培地」が簡便で有効であることがわかった.さらに, 10%スクロース液に100 ppmのホウ酸と300 ppmの硝酸カルシウムを加えると,花粉粒の破裂を防ぐことができることができ,観察できる確率が高くなることが示された.