著者
森 由弘 井上 亜希子 粟井 一哉 荒川 裕佳子 厚井 文一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.24-30, 2010-06-30 (Released:2016-09-01)
参考文献数
9

間質性肺炎の終末期には合併症や呼吸困難への対応,人工呼吸器装着の可否など多くの問題点を抱えている.最近,NPPVを急性呼吸不全時に挿管までの橋渡しとして一時的に使用したり,終末期呼吸不全に対してNPPVを限度として,慎重な観察下での導入は許容範囲とされつつある.また,終末期の呼吸困難の緩和にモルヒネの有効性が注目されている.今後,終末期医療の決定に関するガイドラインに示された「医療・ケアチーム」による治療方針の決定が望まれる.
著者
岡崎 真由美 粟井 一哉 森 規子 吉田 雅春 本田 淳一 森 由弘
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.52-57, 2008-03-25
被引用文献数
1

近年,栄養状態が疾患の治療効果に大きな影響を及ぼすことが分かり,栄養療法の重要性が再認識されてきた.一方感染対策においても,抗菌薬の耐性化や本邦における急速な高齢化の影響もあって,宿主の免疫力とも大きな相関のある栄養療法の重要性は年々高まっている.<br>   当院は,病床数179床の市中急性期病院であるが,2001年1月に栄養サポートチーム(NST)が,そして翌月に院内感染対策チーム(ICT)が相次いで発足した.NSTは栄養療法の適正化を進め,従来の中心静脈栄養(TPN)主体の栄養療法から,経腸・経口栄養を基本とした栄養療法へと劇的な変化をもたらした.またICTは環境感染対策,各種サーベイランスの開始や抗菌薬の適正使用などに精力を注いできた.<br>   両チーム発足後の推移を追ったところ,TPNは2000年度とその後の6年間を比較し7,917本から平均3,874本と46.1%の大幅な減少を認め,対照的に経腸栄養患者数は大きく増加していた.抗菌薬使用量についてはPK/PD理論に基づき一人当たりに使用するバイアル量は増加傾向であるにもかかわらず,2000年度とその後の6年間を比べると29,177本から平均25,718本と11.8%の減少を認めた.<br>   NSTとICTのコラボレーションは,抗菌薬の使用量の減少効果および医療費の抑制効果を生みだし,耐性菌の抑制などの感染対策としても有益である可能性が示唆された.<br>