著者
原島 秀吉 紙谷 浩之 山田 勇磨 畠山 浩人 馬場 嘉信 秋田 英万
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

我々が独自に開発したin vivoがん送達型多機能性エンベロープ型ナノ構造体(PPD-MEND)に、がん細胞で選択的に発現している遺伝子に対するsiRNAを搭載し、抗腫瘍効果を誘起することができ、かつ、安全性の高い人工遺伝子デリバリーシステムを開発し、がん治療へと応用することを最終目標とした。その結果、shGALA修飾PEG-MENDは、静脈内投与により腫瘍組織でmRNAをノックダウンし抗腫瘍効果を誘起できることがわかった。
著者
葛西 宏 河井 一明 平野 雄 紙谷 浩之
出版者
産業医科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

活性酸素によるDNA損傷とその防御に関して下記のような、大腸菌を用いた変異誘発に関する基礎的研究、酵素基質特異性に関する生化学的研究、また発がんリスク評価に関連して、動物臓器DNA、ヒト試料の酸化ストレスのマーカーの分析などを行った。1)リボヌクレオチド2-OH-ATPはヒトMTH1蛋白により効率よく分解され様々な酸化損傷ヌクレオチドの中で最も低いKm値(最も高い親和性)を示した。2)アゾ色素系肝発がん物質3'-methyl-4-dimethylaminoazobenzenの投与によりマウスおよびラットの肝臓中の8-OH-dGおよびその修復活性が高まったことから肝発がんにおける活性酸素の関与が示された。3)ヒトMTH1タンパク質により次亜塩素酸DNA付加体8-クロル-dGTP(8-Cl-dGTP)が効率良く分解された。4)ヒト培養細胞に対しクロシドライトアスベストを作用させたところ、8-OH-Guaレベルおよびその修復活性、hOGG1およびhMTH1のmRNA発現がすべて上昇した。5)大腸菌のOrf135タンパクはリボヌクレオチド5-OH-CTPを効率良く分解した。6)ヒト培養細胞に対し発癌性砒素化合物で処理した後、酸化ストレスマーカーを調べた。DNA中8-OH-dGの上昇、修復活性の低下、OGG1mRNAおよびタンパク発現の低下が認められた。7)尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシンの高精度自動分析装置を開発した。8)アゾ色素3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼン(3'-MeDAB)投与マウス肝において低分子OGG1分子が検出された。9)DNA修復酵素OGG1はカスパーゼ依存的アポトーシスにより断片化する事を見い出した。