著者
山田 勇磨
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.1, pp.55-62, 2016 (Released:2016-01-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

A variety of human diseases, including neurodegenerative disorders, ischemic heart disease, diabetes, and cancer have been reported to be associated with mitochondrial dysfunction. Because of this, mitochondrial therapy is expected to be useful and productive in the treatment of such diseases. We previously reported on the development of a MITO-Porter, a liposome-based nanocarrier that permits macromolecular cargos to be delivered into mitochondria via membrane fusion. Intracellular observations using the green fluorescence protein as a model macromolecule provided confirmation that a macromolecule could be delivered to mitochondria in living cells by the MITO-Porter. Here, we present our current findings on the development of mitochondrial medicine and mitochondrial gene therapy based on our mitochondrial drug delivery system (DDS). In this review, we propose “mitochondrial DDS” as a theme for “DDS research for innovative drug development” and discuss the contribution of mitochondrial DDS to innovative drug development.
著者
原島 秀吉 紙谷 浩之 山田 勇磨 畠山 浩人 馬場 嘉信 秋田 英万
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

我々が独自に開発したin vivoがん送達型多機能性エンベロープ型ナノ構造体(PPD-MEND)に、がん細胞で選択的に発現している遺伝子に対するsiRNAを搭載し、抗腫瘍効果を誘起することができ、かつ、安全性の高い人工遺伝子デリバリーシステムを開発し、がん治療へと応用することを最終目標とした。その結果、shGALA修飾PEG-MENDは、静脈内投与により腫瘍組織でmRNAをノックダウンし抗腫瘍効果を誘起できることがわかった。
著者
原島 秀吉 小暮 健太朗 秋田 英万 山田 勇磨
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本年度は、アジュバントのトポロジー制御の観点からアジュバント搭載型ナノ構造体の構築とその機能評価を行った。まず認識受容体の局在が異なる2種類のアジュバントを搭載したMENDの構築を行い、細胞性免疫誘導効率への影響を調べた。polyI:Cはエンドソーム内のTLR3及び細胞質中のMda5により認識され、CpG-ODNはエンドソーム内のTLR9によって認識される。それ故、細胞への取り込み後に認識されるように、MENDの内部に抗原と共に内封した。polyI:CもしくはCpG-ODNを内封したMENDをマウスに皮下免疫し、CTL活性を測定した結果、polyI:C内封MENDを免疫したマウス群では、CpG-ODN搭載MENDを免疫した群と比較して著しく高いCTL活性の誘導が認められた。次にpolyI:C搭載MENDとpolyI:C/R8複合体のCTL活性誘導能を比較した。その結果、polyI:C搭載MENDを免疫したマウス群の方が高いCTL活性及び抗腫瘍活性を示した。MEND内にpolyI:Cを内封することで、効率良くTLR3及びMda5に認識され、強力な細胞性免疫が誘導されたと考えられる。このことからアジュバントの機能を十分に発揮させるためには、そのトポロジーを考慮することが重要であることが示唆された。またpolyI:CをMEND内に内封することでアジュバント投与時の炎症等の副作用が軽減されるかを調べた。polyI:C搭載MEND及びpolyI:C単独をマウス尾静脈から投与し、2時間後の炎症性サイトカインIL-6の産生を調べた。その結果、polyI:C搭載MEND投与群では、polyI:C単独投与群と比較してIL-6産生の著しい抑制が認められた。以上の結果より、効率的な細胞性免疫誘導及び副作用の軽減には、アジュバントのトポロジーを考慮したワクチン設計が重要であることが明らかになった。