著者
佐藤 暢人 岩井 和浩 狭間 一明 京極 典憲 細井 勇人 溝田 知子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.346-351, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
4 6

症例1は69歳の男性で交通外傷にて搬送され,腹腔内遊離ガスを認めたが,腹部症状を伴わず,経過観察を行った.入院後,発熱と炎症反応の亢進を認めた.症例2は40歳の女性で腹痛にて搬送され,腹腔内遊離ガスを認めた.症例3は90歳の男性で発熱と呼吸不全にて搬送され,精査目的の画像検査で腹腔内遊離ガスを認め,腹部に圧痛を伴った.症例4は86歳の男性で肺癌多発転移の疼痛管理目的に入院中,精査目的の画像検査で腹腔内遊離ガスを認め,腹部に圧痛を伴った.4症例とも,消化管穿孔を否定できず,手術を施行したが,術中所見で消化管穿孔を認めず,特発性気腹症と診断した.症例5は50歳の女性で肝血管腫の経過観察のCTで腹腔内遊離ガス像を認めた.腹部所見は軽度で炎症所見も認めず,特発性気腹症と診断して経過観察を行い,症状の増悪なく退院に至った.比較的まれな特発性気腹症の5例を経験したので検討を加えて報告する.
著者
細井 勇
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-20, 2017-02

日本の戦後社会福祉理論は、社会福祉を社会政策との関係から説明する「補充論」に特徴があった。この場合の社会政策とは大河内一男のマルクス主義的な社会政策論であり、労働力の保全策、言い換えれば労働力の「商品化」政策であり、経済政策と同定される社会政策であった。それは正義や自由の問題を形而上学=非科学として排除するものであった。しかし、今日の社会福祉のテキストでは、「補充論」と併記して、エスピン・アンデルセンの福祉レジームとその指標としての「脱商品化」や、ロールズやセンによる自由の正義論が紹介されている。そこで本論文は、「商品化」論と「脱商品化」論の関係は如何に把握されるべきかを以下のように論じた。すなわち、正義と自由の概念との関係で社会福祉が論じられる背景を正義論の歴史的系譜として説明し(1章)、戦後日本の社会福祉理論形成において正義と自由が何故排除されたかを歴史的文脈から説明し(2章)、戦後日本の社会福祉展開において「脱商品化」論は如何に受容されてきたか、またされるべきかを論じた(3章)。
著者
細井 勇
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-20, 2017-02-28

日本の戦後社会福祉理論は、社会福祉を社会政策との関係から説明する「補充論」に特徴があった。この場合の社会政策とは大河内一男のマルクス主義的な社会政策論であり、労働力の保全策、言い換えれば労働力の「商品化」政策であり、経済政策と同定される社会政策であった。それは正義や自由の問題を形而上学=非科学として排除するものであった。しかし、今日の社会福祉のテキストでは、「補充論」と併記して、エスピン・アンデルセンの福祉レジームとその指標としての「脱商品化」や、ロールズやセンによる自由の正義論が紹介されている。そこで本論文は、「商品化」論と「脱商品化」論の関係は如何に把握されるべきかを以下のように論じた。すなわち、正義と自由の概念との関係で社会福祉が論じられる背景を正義論の歴史的系譜として説明し(1章)、戦後日本の社会福祉理論形成において正義と自由が何故排除されたかを歴史的文脈から説明し(2章)、戦後日本の社会福祉展開において「脱商品化」論は如何に受容されてきたか、またされるべきかを論じた(3章)。