著者
細川 まゆ子
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、アジアの地方部では骨フッ素症以外の健康被害として飲料水を介してフッ素を大量に摂取している児童のIQが低下した報告がある。そこで本研究では、児童のIQ低下が認められた濃度と同程度のフッ素(5、25、50 ppm)を飲料水に混ぜ妊娠期のICRマウスと離乳後の仔に自由摂取させ、記憶学習能力に影響を及ぼすかを検討した。胎児期のフッ素投与により、雌雄共にY-mazeとBarnes迷路の結果から認知機能の低下が示唆された。また、高架式十字迷路では、雄のみ対照群に比べ全ての群でオープンアームへの滞在時間が長かったことから不安感を示さなかった事が考えられ、交感神経系への影響が示唆される。
著者
細川 まゆ子
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

中国やインド等、高濃度のフッ素を含有する水を摂取している地域では骨フッ素症や斑状歯の患者が多く発生している。その他の健康被害として近年ではIQ低下、認知機能障害および学習・行動障害等自閉症スペクトラム障害と類似した症状が報告されている。フッ素は出生前後に曝露されると脳の発達に影響を及ぼす可能性があることが懸念されている。動物実験ではフッ素曝露による記憶学習能力低下や不安感について一様の見解が得られないが、一般に胎児期から発達期の化学物質曝露は神経系への影響が大とされる。本研究では、妊娠期飲料水中フッ素曝露による仔マウスの自閉症スペクトラム障害を引き起こす可能性について検討することを目的とする。