著者
二階堂 徹 江 芳美 佐藤 暢昭 高倉 ひな子 猪越 重久 高津 寿夫 細田 裕康
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.655-661, 1993-11-25
被引用文献数
6

インレー修復においては, 窩洞の仮封時の歯髄保護が問題となる.すなわち仮封材による封鎖性が悪いと細菌侵入を招き, 歯髄に為害作用を起こす可能性があるからである.ライナーボンドシステム(クラレ)は, ボンディング材と低粘性レジンであるプロテクトライナーによって象牙質表面に強固な被膜を形成させるユニークな材料である.このボンディングシステムを利用して窩洞形成直後に形成面をシールすれば, 印象採得や仮封中の機械的, 熱的, 細菌学的な刺激から歯髄を保護することが可能である.本研究では, 5種類の仮封材が, レジンセメントとプロテクトライナーとの接着に及ぼす影響について検討した.その結果, 水硬性材料であるCavit-G(ESPE)は, レジンセメントのプロテクトライナーに対する接着強さを有意に向上させた.またユージノール系, 非ユージノール系材料では, 接着に悪影響を及ぼさなかった.しかし, レジン系仮封材では, 仮封材がライナー表面に強固に付着し, レジンセメントの接着力を低下させた.さらに仮封材と接触したプロテクトライナー表面は, 形態学的に様々な変化が観察され, 表面の硬さも低下していた.このことから, プロテクトライナーと仮封材との間になんらかの相互作用が生じていたことが示唆された.
著者
二階堂 徹 高田 恒彦 バロー マイケル 佐藤 暢昭 細田 裕康
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.910-915, 1992-11-25
被引用文献数
19

コンポジットレジンインレー等に用いられる各種デュアルキュア型レジンセメントの歯質に対する初期接着強さについて検討した.エナメル質に対する初期接着強さは, ほぼ満足できる値であったが, 象牙質に対する接着強さは極めて低く, 改善する必要があった.そこで直接充〓用コンポジットレジンでその有効性が認められた前処理剤, プライマー, ボンディング剤等の併用について検討したところ, ボンディングシステムを併用することによって初期接着強さを改善できることが判明した.さらに窩洞形成後, ボンディングシステムによって窩洞をシールし, 接着を完了した上で印象採得し, レジンインレーを合着すると, さらに安定した高い接着性が得られることが示唆された.