著者
坂井 隆敏 菊地 博之 縄田 裕美 根本 了 穐山 浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.171-177, 2020-10-25 (Released:2020-10-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

畜産物中のフィプロニルおよびその主要代謝物であるフィプロニルスルホンについて,LC-MS/MSを用いた迅速かつ高感度な分析法を開発した.試料からn-ヘキサンおよび無水硫酸ナトリウム存在下,酢酸酸性下アセトニトリルで抽出し,中性アルミナカートリッジカラムを用いて精製した.測定はLC-MS/MSを用い,ESIによるネガティブイオンモードで行った.開発した分析法を用い,畜産物6食品について添加回収試験(各食品n=5)を実施したところ,基準値相当濃度を添加した場合の真度および併行精度はフィプロニルでそれぞれ95~115および0.8~4.1%,フィプロニルスルホンでそれぞれ94~101および0.9~5.1%であった.また,添加濃度0.001mg/kgの場合の真度および併行精度も良好であった.確立した分析法の定量下限値はフィプロニルおよびフィプロニルスルホンともに0.001mg/kgと推定された.本分析法は畜産物中の基準値の適合性の判定に有用な方法と示唆された.