著者
東 達也 池渕 秀治 内山 眞幸 織内 昇 絹谷 清剛 細野 眞
出版者
一般社団法人 日本核医学会
雑誌
核医学 (ISSN:21899932)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.27-43, 2016 (Released:2016-05-09)
参考文献数
64

要旨:我が国では急激な甲状腺癌の増加やRI 内用療法施設の実稼働ベッド数の減少などから,RI内用療法施設への入院待ち待機時間が延長し地域格差が広がっており,その現状はがん対策推進基本計画がめざす「医療の均てん化」とはほど遠い状況にある.2015 年国会においてRI 内用療法に関連する質問主意書が提出され,これに対しRI 内用療法は重点的に取り組むべき課題であるとの政府答弁がなされており,今後の研究・診療の推進等が期待されている.本稿では医療経済的考察も含めて我が国におけるRI 内用療法の現状と問題点をとりまとめ,甲状腺癌の将来的な疾病状況を予測の上,これに対応可能なRI 内用療法環境を提示し,欧米諸国の現状との比較も交えて,我が国のRI 内用療法のあるべき将来像を見据えた提言を行う.
著者
富永 英之 石北 朋宏 有坂 有紀子 樋口 徹也 織内 昇 遠藤 啓吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.1708-1714, 2008-07-01

分子イメージングとは,生体内で起こる様々な生命現象を外部から分子レベルでとらえて画像化することであり,様々な画像装置が開発されている.最近,分子イメージングに最も適した手技として,社会的にも注目を集めているのはPETといえよう.PETとは放射性物質で標識した薬剤(トレーサー)を投与し,細胞及び組織の機能をイメージングする方法である.日本では2002年に[^<18>F]FDG(2-deoxy-2-[^<18>F]fluoro-D-glucose)というトレーサーが腫瘍に対して保険適用ができるようになり,これまでごく一部の施設で使われていたものが,多くの病院で利用されるようになった.またPETは[^<18>F]FDG注射液を静注することだけで検査ができる低侵襲な(患者の痛みなどの負担の少ない)方法であり,ほぼ全身を診断できるということでがん検診にも利用されるなど急速に普及している.PETはFDGという薬剤を注射することでほぼ全身の腫瘍が分かり,苦痛の少ない方法と注目されている.PETは生体内の機能をイメージングすることができるため,腫瘍に対して様々な角度から研究されている.