著者
佐藤 正之 田部井 賢一 織田 敦子 辰巳 寛 関 啓子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.33-38, 2023-03-31 (Released:2023-04-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

メロディックイントネーションセラピー (MIT) は, 1970 年代に米国で開発された失語訓練法である。今回われわれは, 本邦における MIT の現況についてアンケート調査を行った。対象は, 2021 年 3 月末時点で日本言語聴覚士協会のホームページに掲載されていた 3,136 施設。同年 5 月 1 日付けで, 返信用封筒を同封した質問紙を郵送, 各施設の代表の言語聴覚士 (ST) に記入を依頼した。回収期限は同年 6 月末とした。有効発行総数 3,127 件のうち, 1,186 件が回収できた (回収率 37.9%) 。回答者の 81% (955 名) が MIT という用語を聞いたことがあり, そのなかの 85% (800 名) が MIT は運動性失語の発話障害に有効であることを知っていた。しかし, 臨床現場で実際に MIT を行っているのは 9% (90 件) で, MIT 日本語版 (MIT-J) を用いているのは 35% (29 件) であった。MIT-J の正しい手法を学ぶための講習会へのニーズがあると思われた。