著者
羽賀 篤信 張 敏
出版者
日本蠶絲學會
雑誌
日本蠶絲學雜誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.17-21, 1998-02-27
参考文献数
10
被引用文献数
2

蚕の蛹脱皮殻とカブト虫幼虫のクチクラに1N HClを加え, 100℃で20分間処理をして, diphenol 類を除去した後, 1N NaOHを加え, 80℃, 36時間をかけて, タンパク質の除去を行い, 昆虫由来キチンを得た。さらに40% NaOH溶液中で, 110℃, 4時間加熱してキチンの<i>N</i>-脱アセチル化を行い, キトサンを精製した。キチン及びキトサンの化学構造を<sup>13</sup>C FT-NMR, <sup>13</sup>C CP/MAS NMRスペクトル, FT-IRスペクトル, 元素分析により明らかにした。また, HPLC, UV, <sup>13</sup>C CP/MAS NMRの分析結果から, 昆虫クチクラの主成分として norepinephrine, DL-β-(3,4-dihydroxyphenyl) α-alanine などの diphenol 類であることを確認した。蚕の蛹脱皮殻にはタンパク質が62~67%, diphenol 類が15~20%, 脂質が1~2%, キチンが15~18%含まれており, カブト虫幼虫クチクラにはタンパク質が40~50%, diphenol 類が20~25%, 脂質が5%, キチンが20~30%が含まれていることを明らかにした。